テラーノベル
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嵐のような情欲が去り、二人の間には、これまでに経験したことのない穏やかで親密な時間が訪れました。童磨は横たわったまま、しのぶの柔らかな体を背後から包み込むように抱き寄せました。肌と肌が直接触れ合う境界線には、先ほどまで何度も注ぎ込まれた熱の余韻がじんわりと残っています。
「しのぶちゃん、心臓の音が重なっているよ。まるで一つの生き物になったみたいだ……」
童磨は彼女のうなじに鼻先を寄せ、深くその香りを吸い込みました。しのぶは、心地よい疲労感と幸福な脱力感の中で、彼の腕に自分の手を重ねます。
「……静かですね。あなたの腕の中が、こんなに安らげる場所だなんて思いもしませんでした」
しのぶの背中に、童磨の逞しい胸板の厚みが伝わります。裸のまま肌を合わせていると、言葉よりも雄弁に、互いの存在が魂に染み込んでいくようでした。童磨は、自分の腕の中で丸まっている彼女が愛おしくてたまらず、大きな手で彼女のお腹を優しくさすりました。
そこにはまだ、彼が何度も注ぎ込んだ熱い愛の証がたっぷりとしなやかに溜まっており、動くたびにかすかな水音を立てて、彼女の太腿を伝い落ちていきます。
「ねえ、しのぶちゃん。このまま眠りについたら、どんな夢を見るかな。君が僕を殺しに来る夢? それとも、僕が君を甘やかす夢かな?」
「夢なんて見なくてもいいですよ。だって、目が覚めても……隣にはあなたがいるのでしょう?」
しのぶが微睡みの中でそう呟くと、童磨は満足げに目を細め、彼女の髪に何度も口づけを落としました。
二人の間を隔てるものは、もう何もありません。隊服も、仮面も、憎しみも。ただ、剥き出しの心と体で寄り添い、二人は深い眠りの海へと沈んでいきました。
その静かな寝顔は、まるでどこにでもある幸せな恋人たちのようで、二人がかつて命を奪い合った宿敵であったことなど、嘘のように思えるほどでした。