「鳩を飛ばす日常」
代わり映えのしない日常の中
私は毎日鳩を飛ばす。
鳩の種類はいつも同じ
「お前絶対見つかるなよ、見つかったら殺すかんな?」
って圧をかけ…願ってから思いっきり投げてから飛ばす。
え、なんで見つかっちゃダメなのかって?
…いや、誰だって鳩投げたら怒られるでしょ
それに見つかったら痛いじゃん?
殴られたり蹴られたり、マジで普通に苦痛〜
あっついお湯ぶっかけられたり、熱い通り越して痛いしさ
服剥ぎ取られて口に布押し込まれてさ、きっしょいし痛いわ
閉じ込められるし…いや、それは今も一緒か。
ま、とーにーかーく
私はいつも鳩を飛ばすの
絶対に届かないとわかってながらも
生に無様にしがみつきたいから
私は鳩を壁の小さな隙間から押し込んで飛ばす
あぁ、そろそろ見張りが居なくなる時間だ
今のうちがチャンスかな
さてと
今日も死ぬ前に鳩を飛ばしますか。
…いや、そういえばもう死んでたか
《「鳩を飛ばす」というのは手紙を秘密裏に渡す。という隠語以外にも
葬儀での放鳥などの意味もある》