テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『最初の日』
部屋の空気が重かった。
👁️🗨️は立ったまま、拳を強く握りしめている。
頭の中は混乱していた。
嫌な言葉。
嫌な記憶。
何もかもが一気に押し寄せる。
「もう……無理。」
その瞬間。
ガタンッ。
近くにあった椅子を勢いよく押してしまった。
大きな音が部屋に響く。
自分でも止められなかった。
「違う……!」
また手が動きそうになる。
そのとき、Ი𐑼が一歩前に出た。
慌てない。
怒鳴らない。
ただ、低くはっきりと言う。
「👁️🗨️。」
その声に、一瞬だけ視線が向く。
「私を見ろ。」
荒い呼吸のまま、👁️🗨️は顔を上げる。
「止まれない……!」
Ი𐑼は短く命じた。
「その場で止まれ。」
「無理……!」
「一歩も動くな。」
👁️🗨️の足が震える。
動きたい衝動と、命令の間で揺れる。
数秒後。
足はその場に止まった。
Ი𐑼はうなずく。
「よし。」
それだけ言う。
次の命令が続く。
「拳を開け。」
指先はこわばっていた。
少しずつ、少しずつ開いていく。
「肩の力を抜け。」
呼吸はまだ速い。
それでも言われた通りに力を抜こうとする。
👁️🗨️の目から涙がこぼれた。
「怖い……。」
「自分が何をするかわからなくて……怖い。」
Ი𐑼はその言葉を遮らず、静かに聞いていた。
そして穏やかに言う。
「怖かったな。」
その一言で、👁️🗨️は泣き崩れた。
「止められなかった……。」
Ი𐑼は責めない。
ただ落ち着いた声で続ける。
「今日覚えることは一つ。」
「限界になる前に、『限界だ』と言え。」
「一人で抱え込まなくていい。」
👁️🗨️は涙をぬぐい、小さくうなずく。
「……うん。」
Ი𐑼は最後に静かに言った。
「制御は、一瞬で身につくものじゃない。」
「でも、止まろうとした今の一歩は、本物だ。」
部屋には静けさが戻っていた。
さっきまでの激しい混乱はまだ完全には消えていない。
それでも👁️🗨️は、自分の呼吸と、Ი𐑼の落ち着いた声を確かに感じていた。
コメント
1件
美月ゆめかです🌸 第7話読んだよ…!Ი𐑼さんの静かで揺るがない声がすごく効いてた。パニックになりそうな場面で「怖かったな」って受け止めるの、本当に優しいと思った。「限界になる前に、『限界だ』と言え」っていう教えも心に残った。自分を止めようとした一歩を「本物だ」って認めてくれるのが温かいね。かほさん、素敵な関係性を描いてくれてありがとうございます🍀
47
106