花垣武道はヒーローだった

「…………」

相棒の葬式中、俺は涙を流さなかった。

悲しくないとか、そんなんじゃなくて。

実感がなかったんだ。

相棒の葬式に出ても。

相棒の遺影を見ても。

相棒の死体を見ても。

悲しみ泣いている仲間達を見ても。

その内ひょっこり現れて、いつもみたいな笑顔で俺に話し掛けてきて。

マイキーくん達と馬鹿やったりして、笑って。

泣き虫なあいつの涙をためたような青色の瞳を、幸せそうに細めて。

その目を見て、伝染するように広がっていく笑顔を見た俺がまた笑って。

そう、してくれるんじゃないかと思って。

けど、嫌でも分かっちまった。

火葬する前に相棒の顔を見て、分かっちまった。

あの青色瞳に、

いつもキラキラと輝いていた光が、

消えてたんだ。

俺、お前と心中するって、言ったのになぁ。

なんで、言ってくれねぇんだよ、たけみっち。