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青天の霹靂 ―事件は俺が北戸さんから依頼を引き受けた一週間後に起きた。その時、俺は事務所でラジオから流れる音楽をBGMに依頼の進捗報告書を書き進めていた。「うーん。一旦、休憩にするか」立ち上がって伸びをして、パック珈琲をいただく。優雅な午後? そうこうしているうちに、ラジオはニュースの時間になったらしい。「本日10時頃、―――で士能達介氏の遺体が発見されました。遺体の顔は全焼しており身元は判別困難で、ポケットに入っていた運転免許証から断定に至ったとのことです。警察は事件、事故両方の線から―」俺は珈琲カップを手にしたまま、暫く時が止まったかのように呆然とその場に立ち尽くし、そして戦慄した。 ―「それで北戸さん、お兄様の失踪に関与している可能性がある人に、心当たりはありませんか?」「え?ああ、そういえば!士能達介さんという方なんですけど、兄の親友で―」最近耳にしたばかりの名前、俺が昨日まで尾けていた男の名前。そんな、まさか……!ハッとして事務所に設置してある小型テレビの電源をつける。テレビでも同様のニュースが流れていて、テロップには【士能達介”死亡”】の文字……。俺はラジオもテレビも消して、深呼吸をした。一体、どういうことだ?俺と師匠が尾行していることに気づいていた何者かが尾行をしていない今日を狙って士能を殺害したのか?混乱する頭を落ち着かせるためにも、俺は椅子に腰掛けて再び報告書に目を落とした。それから1ヶ月ほどが過ぎたある日、”しのれな”超人気アイドル篠宮玲奈が芸能界の電撃引退を発表した。 次回 第3話「士能玲奈」