TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

       15

 

 ヴィクターは落ちるボールを足で去なした。3タッチ目で右方の4番へと転がす。

 前進しながらあちこちに声を張り上げる。ヴィクターの指揮に従って、ウェブスターのメンバーはシステマティックに動き始めた。

 パスを受けた4番は、すぐさま右斜め前の7番に回した。機敏な方向転換の後、ヴィクターが、「来い!」と叫んだ。スピードは桐畑よりわずかに遅いが、動作にはキレがあった。

 ヴィクターにボールが出た。中を向いて止めたヴィクターは、ぐるんと左に視線を遣った。だがフェイント。首の向きは変えないまま、走り込む7番へと右回転のパスを供給する。

 グラウンダーのボールに7番は滑り込み、中へとクロスを上げる。オフサイドぎりぎりの絶妙なコンビネーションだった。

 飛び出したキーパーが、両の拳で弾いた。ボールを収めた3番は前へと蹴ろうとするが、敵に阻まれてラインを割った。

(男子ドイツ代表を彷彿とさせる、磨き抜かれた組織力だよね。私たちみたいに、未来からタイム・スリップしてきたのかもって疑っちゃうぐらいだよ。ヴィクターって、味方の能力を深く把握してる。運動能力も低くはないしさ。

 ほんと、最後の最後で難敵に当たったもんだよね。でも諦めてなんかいられない。桐畑君のためにも、ホワイトフォードのみんなのためにも)

 決意を再確認した遥香は、パスを受けられる位置に着くべく引き始めた。胸に静かに滾る闘志は、中学時代の全日本ユースにも劣らないものだった。

loading

この作品はいかがでしたか?

17

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚