TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

16

 

 前半十五分、試合はまだ動いていなかった。しかし、ペースはウェブスターが握っていた。

 ホワイトフォードがギディオンに封殺される一方、ウェブスターは、ヴィクターが起点の攻撃によって、幾度となくゴールを脅かしていた。

 ヴィクターは、後ろからのパスを受けて身体を反転させた。すぐさまゴールに向かってドリブルを始める。

 ホワイトフォードの5番が進路に立った。ヴィクターは、ちょんっと右斜め前に進路を変更。鋭く右足を振りかぶった。

 とっさに5番は、妨害すべく左足を浮かせた。だがヴィクターはモーションを急停止。右足の内側で、ボールを身体の後ろを通した。

 コースが開いた。ヴィクター、左足のイン・ステップ(甲の根元)でシュート。地を這うような速いボールがゴールの右端へ向かう。

 飛び込んだキーパーが、両手を出した。当たって前に落ちたボールをすばやく確保する。

(クライフ・ターン風のキック・フェイントからの、狙い澄ました低弾道シュート。どこどこまでも、滑らかな動きだ。「ウイイレ出身の選手ですか」っつって、くだらない質問すらしたくなるぜ)

 感服しつつも桐畑は、キーパーに手を挙げた。桐畑に顔を向けたキーパーは、パント・キックをする。

 飛来した低めのボールを、桐畑は腿で前を向いて止めた。すぐにゆっくりとパス・コースを探す。

 五mほど前に、13番を背負ったブラムがいた。桐畑は、インサイドで速いパスを送る。

 しかし桐畑が蹴る直前に、ギディオンが13番に叫んだ。13番はすっと前に出て、桐畑のパスの瞬間にオフサイドを示す笛が鳴る。

「ワン・テンポ遅いよ。さっきのタイミングじゃ、敵も判断に時間が掛けられる。普段のプレーより、気持ち早めを意識していこう」

 桐畑に澄んだ瞳を向けるブラムは、実直な声色で呼び掛けた。

「アドバイス、サンキュ。指摘の通りに、改善してくわ」桐畑は、冷静さを意識して返答した。

(ハンドボール流も、どうも縦パスがオフサイドに掛かるぜ。もっともっと頭をフル回転してかねえと、先制点は海の彼方、だな)

 反省した桐畑は、ふーっと長く息を吐いて気持ちを整えた。敵の攻撃に備えるべく、バック・ステップで自陣に引いていく。

時空超越ストライカーズ!~A Football Tale in Great Britain~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

18

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚