休憩時間。
律は控えめに華の肩を叩いた。
「……少し、時間ありますか」
華は小さく瞬きをして、戸惑いながらも頷いた。
律に案内され、二人は人気のないラウンジの一角に腰を下ろす。
「桜坂さん」
律の声は、仕事中とは違う柔らかさを帯びていた。
「何があったんですか」
「……え?」
「今日、様子が違う。無理に笑おうとしてるの、分かります」
真剣な眼差しに射抜かれ、華は視線を伏せる。
胸の奥で、父の言葉がまたよみがえった。
「……私なんか、いても無駄だって……」
声は震え、消え入りそうだった。