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「ここから山に入る」とジルが馬から降りて言う。 俺は馬を止めて山を見上げた。そんなに高さはないが大きな山だ。早々に見つけられるだろうかと心配になる。しかしジルは秘策があると言っていた。その言葉を信じたい。
ゼノも馬を降りて、柵に手綱を括りつけながらジルに聞く。
「本当に見張りがいないな。馬はここに繋げばいいのだな?」
「そうだ。鉱石を見つけるのに、そんなに時間がかからないと思うが、長引くようなら馬に|餌《えさ》を与えるために、昼前に一度、ここに戻ろう」
「わかった」
二人の会話を聴きながら秘策とは何かと考える。気になる。だがそれもすぐにわかることだ。山に入ればジルが教えてくれるだろう。
俺は無言で柵に馬を繋ぐと、ジルとゼノに挟まれて山に入った。山の入口で足元の土の色が、まるで線を引いたように茶と黒に分かれている。茶色から黒い地面に足を踏み入れた瞬間、少しだけ身体が痺れた。許可証の石を身につけているために、山に張り巡らされた結界をくぐれたのだ。身体が|痺《しび》れたのは、かなり強い結界が張られていたということだ。なるほど、見張りを置かなくとも、これならなんびとたりとも山に入ることができないだろう。
でこぼことした歩きづらい道を、ジルがスタスタと歩いていく。慣れている。
俺は王城にいる時の方が多かったから、このような道には慣れていない。そのためジルから遅れ気味についていく。足が遅くて申しわけないと振り返ると、ゼノも歩きにくそうにしていた。ゼノは確か、第二王子の側近だった。俺と同じく、城で過ごすことが多かったのだなと、自分だけが遅れてる訳ではないことに安堵する。
俺は少し上がった息に気づかれぬよう、深く息吸って吐き出してからジルに声をかけた。
「ジル殿、どうやって鉱石を見つける?昨日、秘策があると話していたが、どうやる?」
ジルは振り返ると、「この辺りでいいか」と足を止めた。