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海の紅月くらげさん
「はぁー……すげー嫌な予感する」
「え?」
「そりゃ、動き出すヤツだっているよな」
「動き出す?」
よくわからず聞き返すと、歩くんが大きなため息を吐いた。
「あー……もう! ましろ!」
「は、はい!」
「誰になんて言われたか知らねーけど、お前が相応しいと思ったヤツを王子に選べ! それに、その」
歩くんが急に口ごもってしまった。
「彼氏にする、とかは……王子がどうのじゃなくて自分が好きだって思ったヤツを選べよ」
王子に相応しい人。好きだと思う人。
それを同じにする必要はなくて……もしもその両方が同じ人なら、それもまた答えになる。
今私が迷っている答えは正解が何通りもあるんだ。
自分の素直な気持ちに従うこと、それを忘れちゃいけないと歩くんは伝えようとしてくれているんだ。
「お前にはどの靴の色だって……似合う」
「……ありがとう、励ましてくれて」
歩くんは本当に優しい人だ。話していると心の奥が温かくなってくる。
「あ、そうだ。夏休みの終わりに祭りがあるから皆で行く?」
「お祭り?」
「武蔵とか多分すげぇ行きたがると思う」
皆で行ったら楽しそう。武蔵先輩はうるさそうだけど……。
もっと皆のこと知るためにも、出掛けよう。実里くんとのことだって次会うの気まずいとか思って逃げちゃダメだ。そんなの想いを告げてくれたのに失礼だ。自分から知っていかなくちゃ。
「うん、行きたい!」
「約束な。あいつらには俺から言っておくから」
……お祭りか。最後に行ったのはいつだったかな。
楽しみだなぁ。あんず飴とか大好きなんだよね。お祭りまでには宿題も終わらせておかないと。
「ましろ」
歩くんが優しい声音に、トクンと鼓動が高鳴る。
「俺の名前……呼んで」
「え……歩くん……?」
「……ん。元気でた」
なんか改まって名前呼んでって言われると恥ずかしい。それにしても歩くんもなにかあったのだろうか。
「また日にち近づいたら連絡するな」
「うん! ありがと」
「じゃあ、またな。ましろ」
「またね」
歩くんはいつも悩んだり立ち止まったりするたびに背中を押してくれて元気をくれる。だから少し気合が入った。
一日、一日と夏休みが過ぎていき夏は少しずつ終わりに近づいていっている。
夏が終わる前に、〝彼〟に聞きたいことがある。