第六章:喪失と決意
ガーディアンを倒し、秘宝の輝きに包まれた三人は、勝利の余韻に浸っていた。しかし、その瞬間、遺跡全体が不気味な音を立て始めた。戦いの影響で構造が崩れ始めたのだ。
「急いでここを出よう!」リリアが叫び、三人は出口に向かって走り出した。
しかし、崩れ落ちる天井と揺れる床が彼らの行く手を阻む。カイルは後ろを振り返り、仲間たちを守るために立ち止まった。
「先に行って!僕がここを支えるから!」
「何言ってるの!早く来て!」翔太は叫んだが、カイルは微笑んで首を振った。
「君たちがこの世界を救うんだ。僕は大丈夫だから!」
カイルは剣を地面に突き刺し、崩れ落ちる瓦礫を必死に支えた。その間に翔太とリリアは出口へと向かう。涙をこらえながらも、二人はカイルの意志を無駄にしないために必死で走った。
外に出た瞬間、遺跡は完全に崩壊し、その中にカイルの姿は見えなくなった。静寂が訪れ、二人はその場に立ち尽くした。
「カイル…」リリアの声が震えた。
翔太もまた、胸の中に大きな喪失感を抱えながらも、拳を強く握りしめた。「彼の犠牲を無駄にはしない。この秘宝の力で、この世界を必ず救うんだ。」
秘宝は静かに輝き続け、その光が二人の心に新たな決意を灯した。カイルという大切な仲間を失った悲しみは深かったが、それ以上に彼の意志を継ぐという強い思いが二人を支えていた。
「彼のためにも、この旅を続けましょう」とリリアが言った。
翔太はうなずき、秘宝を手に取った。「行こう。この世界にはまだ僕たちの助けを必要としている場所がある。」
こうして二人は、新たな決意と共に旅路へと戻っていった。彼らの心にはカイルの笑顔と共に、未来への希望が確かに息づいていた。