第七章:最後の別れ
秘宝を手にした翔太とリリアは、カイルの犠牲を胸に、エルフィアの世界を救うための旅を続けていた。彼らは秘宝の力を使い、各地で起こる災厄を鎮めながら、平和を取り戻すために奮闘していた。
ある日、二人は最後の試練が待つ場所へとたどり着いた。それは、エルフィア全土に影響を及ぼす闇の力が集まる場所であり、この世界の運命が決まる決戦の場だった。
「ここで全てが決まるわね」とリリアが静かに言った。
「うん、これで終わらせよう」と翔太は力強くうなずいた。
二人は闇の力に立ち向かうべく、秘宝の力を解放し、激しい戦いを繰り広げた。しかし、闇の力は想像以上に強大で、二人を圧倒し始めた。
その時、リリアは何かを決意したように翔太を振り返った。「翔太、この秘宝の真の力を解放するには、犠牲が必要なの。」
「何を言っているんだ!?」翔太は驚きと恐怖で声を上げた。
「この世界を救うためには、私がその力になるしかない。カイルもそうしたように…」
リリアは微笑みながら、秘宝に手をかざした。「あなたならきっとこの世界を導けるわ。」
「リリア、やめてくれ!」翔太は必死に叫んだが、その声も届かず、リリアは光に包まれていった。
彼女の姿が消えると同時に、秘宝は眩い光を放ち、その力で闇の力を完全に打ち消した。エルフィアには再び静けさと平和が訪れた。
しかし、その代償として翔太はまた一人、大切な仲間を失った。彼はその場に膝をつき、涙が止まらなかった。しかし、リリアとカイルの犠牲によって得られた平和と彼らの意志を無駄にはできないという思いが彼を立ち上がらせた。
「ありがとう、リリア。ありがとう、カイル。君たちのおかげで、この世界は救われたよ。」
翔太は二人の想いを胸に刻み込み、新たな未来へと歩み出す決意を固めた。彼にはまだやるべきことがあり、この世界にはまだ守るべきものがあった。
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