飲み会が始まった。
大先生と俺とチーノ、ショッピ、ロボロ、シャオロン、エーミールが集まっており、まだトントンとゾムは来ていない。
「あいつらまだかぁー?」
「トントンさんとゾムさんは少し遅れるらしいです。もうそろそろ着くんとちゃいますか?」
スマホ片手にショッピが言う。
「…そういえば、コネシマさんに聞こうとしてたことがありましたわ。この間の撮影の件なんですけど、チーノと思ってた事がって、、、」
「?なんや」
「…トントンさんのマイクから人の気配を感じるんすよね。コネシマさんなら付き合い長いんで、以前からそうだったのか分かるかな、と」
「あー、トントンな。俺もそれ感じててん。前聞いてみたんやけど、なんも無いって言っとったで?」
何処と無く目線を逸らしているコネシマにショッピは訝って見た。
ショッピの圧に押されてコネシマはしどろもどろに言う。
「…や、その恋人関係やったら話しずらいやん?ちょっとその波動を感じてな……」
「トントンさんに恋人?!…いや、あの感じ有り得そうですね…。ていうかコネシマさんよく聞きましたね」
普通ガチっぽかったら聞けなくないですか?と続けたショッピに思わず狼狽える。
「いやぁ、初めは本気のやつだと思わずで、トントンの雰囲気が結構ガチやったから茶化すやつでもないと思って聞くの辞めたで」
そんな話をしていると、トントンとゾムがやってきた。二人同時に。
そう、二人で来たのだ。
「おろ?トントンとゾム遅れるんとちゃうかったんか?二人で居ったんか?」
「や、トントンと店の前で会ったから一緒に来ただけやで」
「こんな大勢久しぶりやなぁ」
トントンとゾムは何事もなさそうに話すが、コネシマ達は疑問が止まらなかった。
なぜなら、ゾムは妙に顔が赤くて、トントンは妙に期限がいいからだ。
しかもゾムの着ている服は前にトントンが来ていた物
と酷似しているのだ。
「…ゾムさんその服トントンさんが着てたやつと似てますね。どうかしたんですか?」
「へっ?!いや俺の服やけどなぁー!どうしたんやショッピ君」
明らかな動揺。
ショッピとゾムの会話を見ていた他の面々も気になっているようだ。
「ゾムぅー!お前久しぶりやから俺の隣来いやぁ」
ほろ酔いのロボロがゾムの肩に手を乗せる。
「せやなぁ!エミさんも一緒におろ!」
ゾムを挟む形でエーミールとロボロが座る。
その様子をトントンはじっーっと見つめていた。
いや怖いとかじゃなくて、監視、というかそんな感じだ。
試しにコネシマは声をかけてみる。
「トントンー?どうした?そんなあっち見て」
「え?あぁいや、なんでもないで。俺そこ座るな」
何事も無かったかのように腰をかけてメニューを見、注文を始めた。
「すみませーん!この焼き鳥をピリ辛ソース掛けしたのを40本とビール二つ下さい」
店員が注文を受け取り、去ってゆく。
「なんで二人分なんや?あれ、誰か頼んどったっけ?」
「いや俺は頼んでないですよ」
「あれはゾムと俺の分やで。取り敢えず話とかもしたいやろうし少なめで頼んだんや」
「……よく何も言われなくても分かりますね」
「いや普通やない?ゾムあれ好きやし」
「俺は忘れとったで、トントン」
コネシマとショッピはトントンを、何者?という目で見つめる。
「なぁ、もしかしてやけど、トントンは誰かと付き合っとるか?」
「え”っ!いや、そんなぁことないですよ部長ー」
笑って誤魔化しているが、コネシマとショッピにはトントンの声色でわかってしまった。
いやこいつ恋人居るやろ、と
「失礼を承知で聞きますが、それはゾムさんですか?」
「おいっ!ショッピ!それは聞いたらあかんやろ!!」
コネシマが牽制に入ったがもう遅く、トントンの顔を二人して見られなくなった。
だかしかし言ってしまったことは後の祭り。覚悟を決めるしかない。
同性愛とは、今ではよくあるが、まだまだ世間には痛い目で見られることが多い。
そのためデリケートな話になるのだが、それをトントンはどう思っているのだろうか。
「……そんなに、分かりやすくかったか?」
肯定と言えるその言葉にカバリと顔を上げる。
「うぇ?!マジで相手ゾムやったん?」
ショッピは目を丸くしてトントンを凝視している。
「……ごめんなゾム。バレたわ」
あーっと顔を抑えて上をむくトントン。男らしい喉仏が上下して大きなため息をつく。
「トントンさん。俺らは引いたりしませんので、そんな後悔しないでください」
「いや、お前らが引いたりしないのはわかってるんやけど、ゾムが恥ずかしいからって口止めされててな。これは帰ったら怒られるぞ……」
「…まぁ確かにキャラじゃないって思われそうやもんな」
「それに俺だってゾム取られたくないし。ゾムさんの可愛い所あんまり知ってほしくないからな」
「…え、めっちゃ惚気てる。珍し」
ショッピがいつの間にかカメラを取り出して撮影している。
「……ショッピそれどうするつもりや」
コソコソと尋ねる。
「…そりゃもちろんゾムさんにあげますね。トントンさんあんまりこういうの本人の前で言わなさそうですし」
「お前順応性高いな」
「あざっす」
「それはともかく、たしかにゾムさんは容姿的にも敵が多くなりそうですしね。トントンさんの判断は懸命ですね」
地毛なのか少し茶色の柔らかな髪。肌が弱いためしっかりと保護してきた透き通るような白。
無邪気に笑う様は誰が見ても庇護欲をそそられる。
「いやそうよなぁー」
「でも、トントンさん最近撮影中にゾムさんに構ってませんか?ばれてますよ」
「えっ?!ばれてたん?」
「ゾムさんとまでは分からなかったですけど、気をつけた方がいいですよ。最近ガバガバです」
「ショッピの言う通りやぞ!強引に撮影終わらせるんは驚くで」
「…すんません」
そうこうしているうちに、話題の中心人物がやってきた。
「とんとぉー!なに話してるのぉ?」
「あ、あかんわ。ゾム酔ってる」
トントンの腕に絡みつきだる絡みをしているゾムは珍しくなかったのだが、こう話を聞いてからだと妙に甘い空気を感じる。
「あんなぁ〜とんとん。ロボロとえみさんが久しぶりやなって、喜んでくれたんやー!」
嬉しそうに先程のことを話すゾムにトントンは終始優しくほほ笑みかける。
「あえ?ショッピ君としっまやぁ!」
「…なんかゾムさんいつもよりふにゃふにゃですね」
同じく擦り寄られたショッピは面白そうに撮影をする。
「ショッピ。それどうするつもりや?」
トントンが、許さないといった風に見る。
「大丈夫ですよ。あとでプレゼントしますから」
「……それは嬉しい」
「なんやぁトントン素直やなぁ!!!」
いまだショッピに絡みついたままのゾム。それを恨めしそうにトントンに睨まれ、居心地が悪そうなショッピは、ゾムを引き剥がそうと胸を押した。
「んぁっ!」
ショッピの手がゾムの乳首に当たり、敏感なゾムは艶めかし声をあげた。
「……っ!!」
驚きで声の出ないコネシマとショッピ。
トントンは慌ててゾムを抱き寄せた。
「ゾム!ここ居酒屋やでっ!」
「んぇ~?とんとんやぁ♡」
ターゲットがトントンへと移り、ショッピは一安心だが、如何せん先の声が脳裏に焼き付いて離れない。
「…トントンさん、この状態のゾムさんはシャオさんに乳首いじりされる可能性があるので早く帰った方がいいですよ」
「さっきのは中々来るもんがあるな」
「んぇ?しゃおろん?さっきギューってしてきたで!」
何があるのか、自信満々に答えるゾムにトントンは天を仰ぐ。
「…ちょっともう帰るわ。さっきのことは聞かれた時以外答えんといてな」
「わかりました」「誰が言うかいっ!」
コネシマのツッコミを無視して二人分の会計を置いてゾムを担ぐ。
「ほな、さいなら」
「しっましょっぴばいばーい!」
呂律が回っていないゾムを傍目に見つつ、珍しいなぁとショッピと話していたのであった。
コメント
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嫉妬してるtntn可愛いし, 酒飲んでふにゃふにゃなってるzmニキ可愛すぎるんだが,,⁉︎ 続き見てきます!