住宅街の角を曲がるまたもや人とぶつかった。
案の定、私は尻もちをついた。
今日は厄日だね⭐︎
そういえば星座占い12位だったな!
「ダッセ…」
ボソッと声が降ってきた。
あ?今なんて?
失礼な言葉にイラッときて
立ち上がり、パッパッとスカートに
ついた汚れを大袈裟に落とす。
キッと睨みつけようと
顔をあげると、目を見開く。
なぜなら私の目の前にいたのは顔が
整った青年だったからだ。
初対面のレディーへの一声が
「ダッセ」だと言うのに!
こんな容姿をしているとは!
なんだこいつ!腹立つ!
調子乗りやがって!
とか言ってやりたくなったけど、
ぶつかってしまったのは私だし、
初対面だし、なによりこいつと
同類になんてなりたくない!
私はこめかみをひくつかせながら
「ごめんなさい!さよならっ!」
とやや大声で言い、走りだし
家に帰り乱暴にドアを閉めた。
充分な近所迷惑である。
「へぇ…」
青年は意味深な笑みを
浮かべてその家のドアを見つめていた。
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バタン!
「ただいまー」
気の抜けた声をだし、
そのままズルズルと座りそうになる。
おっとっと、夕食が私を待っているわ!
私は急ぎながらも
靴を丁寧に揃え、(←律儀)
手洗い場まで急ぐ。
手を洗い、2階にある自室へと駆ける。
鞄を勉強机の上に置き、
シュババッと部屋着になる。
早着替え大会などというものが
あれば菜摘は必ず優勝するだろう。
そして自室をでて階段を駆け下り、
ダイニングルームに飛び込み席に着く。
へっへっへー1番乗りだぁ
♪を飛ばしながら
今夜のメニューは何かと
期待を膨らませていたら、
隣に弟が座った。
「姉ちゃん、おかえり」
こいつの名前は 米沢 モブ男。
ではなく… 米沢 樹。
どこにでもいそうな名前だよね〜
たまに素直じゃないツンデレ君。
容姿はお父さん似て◯!
私にもその美貌を分けてくれ!
我もモテてみたい!
「姉ちゃん、口にでてる」
私は正気に戻ってシュンとなる。
取り乱してごめんなさい…
なんかね、うん
ハイテンションに
なるんだよね、家いると。
と、反省中の良い子こと私に
言葉が投げかけられた。
「おかえり、菜摘今日はグラタンよ、
牡蠣をいれたの」
グラタン⁉︎
表面だけが焼かれた
クリームチーズが
トロトロと牡蠣、きのこ…と
具にかかっている。
今日の料理も栄養満点ね!
お母さんも席につき、
「「「いただきまーす!」」」
私達は手を合わせた。
いつもならお父さんと
もう1人の弟、米沢 皐 と
一緒に食べるが、あいにく今日は
お父さんは出張中で
皐は部活仲間の家にお泊まりだ。
が、そんなことは関係ない!←
夕飯さいこー!
時々、談笑を挟みながら
夕飯を食べる。
すると、お母さんから話を振られた。
「菜摘、学校はどう?
今日も楽しかった?」
お母さんの質問が
グサグサと心に刺さる。
うぅ〜、アオハルってものを
感じられない毎日だというのに!
「うん!毎日楽しいよ!」
ぎこちない笑みで言葉を返す。
こうして嘘をついて場をやり過ごし、
私は罪悪感に責められながら、
夕飯を食べおえた。
あんなに美味しいと感じた
グラタンは味がしなくなった。
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