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悶々とした気分のまま帰宅した理人は、シャワーを浴びてさっぱりすると、上半身裸のままリビングのソファへ腰を下ろした。 ローテーブルの引き出しから煙草を探り、無意識に掴んだのは自分の銘柄ではなく、瀬名が愛飲している箱だった。
「……チッ」
自分の指先に舌打ちをする。だが、結局一本を指に挟み、火をつけて深く煙を吸い込んだ。普段吸うものよりも重い煙が喉を焼き、むせながら吐き出す。 ふわりと漂う、瀬名の匂い。それが理人の胸の奥を、ひどく落ち着かないほどにざわつかせた。
アルコールのせいか、あるいは一週間の渇きのせいか。
思考は次第に、制御不能なほどいやらしい方向へと傾いていく。
気がつけば、右手は下着の中へと伸びていた。 瀬名の煙草を燻らせながら、自身の熱を手のひらで包み込む。
ゆっくりと上下に扱き上げると、すぐにそれは硬く張り詰め、先端から透明な雫を溢れさせた。
「っ……ん……っふ、……っ」
『理人さん……こんな明るいリビングで股を開いて、何やってるんですか? ……いやらしいなぁ』
脳裏で、妄想の瀬名が冷ややかな、けれど熱を孕んだ視線を投げかけてくる。その幻聴が理人の興奮をさらに煽り、右手の動きはなりふり構わず激しさを増していった。
「ん……っ、ぁ……は……っ」
ぐちゅ、ぐちゅと、湿った水音が静かな部屋に響く。耳まで真っ赤に染め、理人は漏れそうになる声を必死に押し殺した。 瀬名の煙草の香りが鼻を突くたび、背徳感と羞恥心が綯い交ぜになり、昂ぶりは限界を超えていく。
……だが、どうしてもあと一歩というところで、「何か」が足りない。 射精感の直前で足踏みをする感覚が、余計に理人を苛立たせた。身体の奥が、何かに抉られたいと悲鳴を上げるように疼いて仕方がない。
(……っ、はぁ……、クソがっ……!)
もう、限界だった。理人は熱い吐息と共に、短くなった煙草を灰皿に力任せに押し付け、寝室へと向かった。 ベッドの下の引き出しからバイブを取り出し、ローションを塗りたくる。下着を脱ぎ捨て、自立式のそれをベッドに置くと、重力に身を任せるようにゆっくりと腰を下ろした。
「……ん、……っ」
つぷり、と卑猥な音を立てて異物が侵入する。体がぴくんと跳ねた。根元まで埋め込み、ベッドボードに体を預ける。自分の自重でバイブがさらに深く、最奥を突いた。
胸の飾りを指先で捏ねながら、震える手でリモコンのスイッチを入れる。途端に、体内で無機質な振動が狂ったように暴れ始めた。
「っふ、……んん……っ!」
ナカを直接震わされる刺激に、理人はシーツを掴んで耐えた。 けれど、どれだけ機械を押し当てても、どれだけ腰を揺らしても、心は満たされない。 あの重くて硬い楔で、内壁を壊されるほどに突かれたい。意地悪な言葉で追い詰められ、最後には熱いキスと共に、壊れるほど深く抱かれたい――。
想像するだけで、ゾクゾクとした戦慄が背筋を走り、陰茎からは先走りがだらだらと溢れ出す。
「瀬……名……っ、ん、……く……ぁあ……っ!」
頭の中は、今ここにいない男の名前で埋め尽くされる。リモコンの出力を最大に上げると、暴力的な振動が理人の前立腺を容赦なく叩き潰した。
「あ……や……っ、―――!!」
ビクビクと全身を震わせ、理人はついに精を放った。白濁の飛沫が、自身の腹部に虚しく飛び散る。
「ハァ……はぁ……っ、……っ」
絶頂の余韻が引いていくにつれ、天井を見上げる理人の心に、氷のような自己嫌悪が押し寄せてきた。
「…………はぁ……くそ。何やってんだよ、俺は……」
賢者タイムが訪れても、身体の芯に残る熱は消えない。 ――全部、ナオミたちが余計なことを言ったせいだ。瀬名が、あんなに素っ気なくするせいだ。 そう自分に言い訳してみるが、虚しさは枕に吸い込まれて消えていくだけだった。
瀬名はいま、どこで、誰にあの笑顔を見せているのか。 機械の振動などではなく、瀬名そのもので満たされたい。
「……馬鹿か、俺は……」
自嘲の呟きは、冷えた夜の空気に虚しく響いた。