テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
*:.。. .。 .:・.。.
大抵の男性は、そこそこの容姿であってもブラックのライダースジャケットを見につければイカして見えるものだ、ブラックのライダースジャケットはタキシードと同じく、男を変身させる、ましてやジャスティンのような男がそれを着て一人前の青年に少しの少年っぽさが抜けきっていない雰囲気を纏っていれば、あまりのセクシーさに道行く女性はみんな振り向くだろう
赤い電話ボックスに長すぎる片足を突っ込んで、ドアが閉まらないように電話をかけているジャスティンは、雑誌ピープルの表紙を飾ってもおかしくないぐらい、少しさびれたアメリカンのホールストリートに映えていた
しかし、ジャスティンのハンサムな顔は見た目とは違い、密かに眉根を寄せ、何か思いつめた顔をしていた、チャリンチャリンと電話ボックスにコインを落とす
「もしもし・・・母さん?ああ・・・今週中には金を用意してそっちへ行くよ、ウェンディの容態はどうだい?そう・・・わかったよ」
バタンと電話ボックスのドアを閉め、ライダースジャケットのポケットに手を入れて、ジャスティンが歩き出す、そこに黒塗りの覆面パトカーがゆっくりとジャスティンの前に停車した
「久しぶりだなジャスティン」
覆面の後部座席から出てきたのは、色あせた灰色の中折れ帽に、同じく灰色のトレンチコートに身を包んだ、長身の男性だった
「ゼレンスキー警部・・・」
灰色の中折れ帽を深くかぶっているが、ジャスティンを見るシルバーの目はまるで獲物をロックオンした時の獣の目つきだった
ゼレンスキーは、まるで昔からの親友のようにジャスティンに両手を広げて車から落ちて来た、ジャスティンは顔をしかめて腕を前に組んだ、もちろんこの男の抱擁を受ける気など到底ない
「おやおや・・・また俺がこの管轄内に戻ってきたと言うのに喜んでくれんのかね?ほんの2年前は俺達は追いつ、追われつで仲良しだったじゃないか」
面長のゼレンスキーの顔が意地悪く歪む、細く整えられた口髭の下から覗く口元は、なぜか微笑んでいる
「あの時は証拠不十分で、お前をブタ箱にぶち込みそこねたけどね、元気そうで嬉しいよジャスティン・・・お前はまだあの例のカジノで働いているらしいな、もうずいぶん儲けてるんじゃないか?別の意味でね」
「何のことかわかりませんね?警部さん、二年前にはとんだ勘違いから善良な一般市民の少年をあれほど追い回して怖がらせた挙句、閑職に追いやられたと聞いてたんですが、また今日はどうされたんですか?」
ジャスティンは落ち着き払った態度で言った
「ご親切な上官達がみんな無事に退職したんでね、新たに私が組織犯罪警部として、ここに戻って来れたもんだから、古い友人に挨拶しにきたんだよ」
一瞬ジャスティンの瞳に怒りの炎が舞い上がった・・・と見えたが、すぐに善良な笑顔を彼は見せた
「それはいいことですね、それじゃ俺からもその古い友人にお伝え願えますかね、勘違いで幼気な少年を追い回すのは、身を滅ぼすことになるぞ、とね」
「勘違いかどうかは、これからわかる事さ」
刑事が穏やかに言う、ジャスティンは薄く笑顔を見せ、ゼレンスキーのしたりげな顔を見やった
「それじゃ・・・僕は用事がありますので」
「またなジャスティン、君と会えて嬉しかったよ」
そう言い残すとゼレンスキーは真っ黒の覆面パトカーに乗って去って行った
ジャスティンは苛立だしげにコンバーチブルのドアをバンッと閉め、アクセルを踏んだ
コメント
1件
うわ、普段のオフィスラブから一転してこのサスペンスフルな雰囲気…!ジャスティンの抱えてる闇が気になりすぎます。電話ボックスで家族の金の工面をしてるシーンと、ゼレンスキー警部の獲物を見るような目つきがすごく印象的でした。「勘違いかどうかはこれからわかる」って台詞、嫌な予感しかしない…続きがめっちゃ気になります!
りるら
316
設楽理沙
747
#不倫
設楽理沙
538
てっかまき
33