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りるら
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#不倫
設楽理沙
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てっかまき
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*:.。. .。 .:・.。.
「シカゴ・ナルシソカジノ遊技場」・・・シカゴで指折りのケバケバしく飾り立てたナルシソホテルは、ヘリコプターの上空から見たらまさにおとぎの国だった
オレンジ色のライトに照らし出された移植したシェロの木が、ぐるっとホテル内の敷地を囲み、二つのひょうたん型の大きなプールは、夏の繁盛期にはイモ洗い式に人で溢れかえる
このホテルの一番豪華なスイートは、半年先まで予約がいっぱいだったし、連日連夜のカジノも大盛況だった、そのホテル地下一階に、このカジノ主催者の胴元チャックのオフィスがある
このホテルで行われるすべての賭け事の主催者胴元と呼ばれる「チャック・コンチネンタル」は、デスクのワインを一口飲み、書類仕事に没頭していた
名前からしてアメリカ人ではない彼は、すでに中堅を超えた年だったが、すっきりと痩せていて、オールバックにしたシルバーブロンドの髪が真っ黒の胴元のスーツによく映えていた
決して人情味が厚い顔つきはしていないが、その気になれば愛想が良く、人懐こい性格を演じれるので、この胴元は観光客に人気だった
チャックはワインをもう一口飲み・・・机に山と積まれた掛け金の台帳を閉じて、次に書類の整理に移った、まずは10年に一度のホテル外壁の塗装工事の見積もり書を片づけた
次に手に取ったのは、香水のプンプンした金の縁の手紙だった・・・ペーパーナイフを入れ、ゆっくりと中身を空けた、その手紙の送り主は、内容を読まなくても香りで誰だかわかる「女優レディ・ルビーランドル」からだった
先日送ったここナルシソカジノ遊技場でのディナーショーの契約書だった、契約書の他に一枚便せんが同封されていた、そこにはルビーからの直筆で、ぜひにやらせてもらうとキスマークがついていた
ギャンブラーを引き寄せるにはショーが大きな要素になってくれる、ルビーにはカジノ横の玄関ホールの1万人収容できるコンサートホールで、一週間ほどのショーを、年5回出演という契約書を送っていた
アメリカ中の彼女のファンをこのシカゴの街に集めるのだ、カフェやレストランに巨大ビジョンを置き、24時間彼女の映画を流し、ルビー色の噴水を作ってファンの憩いの場を提供し、彼女の名前にちなんだメニューを作る、そして夜は彼女の顔写真が入ったスロットルとカードを使ってカジノで遊ばせる・・・
事態を上手く軌道に乗せるには、恐らく準備が1年はかかるだろう、正式に契約する際には、あの淫乱女には従業員に手を出さないようにきつく忠告せねば
先日もあの女が別のホテルで、部屋に若い従業員を二人連れ込んだと報告を受けている、いわゆる「サンドイッチ型」というヤツだ、あの女が荒らした後は焼け野原だ、その従業員も暫く使い物にならなかったらしい
あの女がまだティーンエイジャーで、売春婦としてこのあたりをゴロついていた頃に、チャックが拾って彼女を磨き上げ、ハリウッドに送り込んだのだ
ルビーだけではない、ハリウッドにはこの胴元チャックの息のかかった役者が沢山いる、しかし今一番の旬はやはりルビーだ、彼女の出演する映画は飛ぶように売れる、そして彼女の一年間のこのホテルでのディナーショーは大盛況に終わることだろう
ワインをもう一口含み、カジノ内の内装の費用を割り出している時、ジャスティンがドアの所へひょっこり姿を現わした
「忙しいかな?チャック・・・」
その声の響きには、嫌と拒んでもドスドス土足で入り込んでくるような、厚かましさがある
「いいや、ちょうど休憩しようと思ってたんだ、一杯どうかね?ドイツ産が今朝の便で届いたんだ」
いそいそと部屋に入って来たジャスティンは、デスクの前にドサッと腰かけるなり、不機嫌な顔つきで足を組んだ
「何かあったのかね?」
、
穏やかな声で、この何かに怯えているようなそぶりを出している青年に声をかけた、彼がこんな感じになるのは珍しい事だ、チャックはワイングラスに半分ほど綺麗な赤色のワインを注ぎ
「さっきゼレンスキーに会った、アイツは帰ってきている」
「そうらしいね、情報屋のピートが教えてくれたよ」
ジャステインはワインをテーブルに置くと、怒りをかろうじて抑えながら言った、思い出しても二年前の屈辱が、体に旋律を走らせる
「あいつは俺を留置所に拘束した時!一晩中殴る蹴るの暴行を加えたんだぜっ!!まるで無抵抗の俺をサンドバッグ代わりにしやがったんだ」
チャックはおもむろに言った
「だからあの時は、裏から手を回してあの男を秘境の地に送りやっただろう?警視庁には私の友人は何人もいるんだよ?そしてお前を思うからこそ一晩で釈放させた、この私の力でね、本来ならお前は懲役10年の刑でもおかしくなかった」
胴元のチャックはしたたかに言った
「心配せんでもいい、秘密が漏れることはないさ、私の地位ぐらいになれば、この街で何がおこっているかぐらいわかるさ、たとえネズミ一匹まぎれこんでいようともね、私はお前に特別の仕事と大変な自由を与えた、そして今その特別な仕事も佳境に踏み込んでいる、お前がその働きに見合う以上の金を受け取ってそれに満足してる事も知っているよ」
ジャスティンは顔をしかめた
「ゼレンスキーに感づかれたとなれば、それほど満足もしていられないぜ、なにせよ猟犬のように匂いを嗅ぎまわってしつこいからな、ヤツらをそんな簡単に片づけられると思っているのか?」
ジャスティンは思った、悔しいが認めざるを得ない、ゼレンスキーは優れた刑事であり、街角にたむろしている屈強な若い与太郎達も彼が近づくと逃げ出す始末だ
彼は非常に腕っぷしの強い刑事で、また職務に忠実でもあった、その時、久しぶりにチャックは彼の性格の内にある人を凍りつかせるような一面をジャスティンに見せつけた
「私はあの安っぽい刑事がこの素晴らしいビジネスを嗅ぎつけられるとは思っていないんだよ、ジャスティン」
チャックはジャスティンの肩に手を置き、そっと言った
「ジャスティン・・・君は戦闘時の要員ではないんだよ、そもそもこの私が直々に銃の腕前を仕込んだんだ」
ゆっくりと胴元は出口に向かい、ランタンを手に持ってドアから出て行く・・・そしてその後をジャスティンもポケットに手を入れついていく・・・カツカツと二人の足音が冷たい石でできた床に響く
このホテルの地下の彼のオフィスの奥に、こんな地下道があるなんていったい誰が知っているだろう、ジャスティンは思った、いつここに来てもこの先に遥か何千キロも先に繋がっているミシガン湖から吹き付けてくる冷たい風が身を凍らす・・・
この風が体をまとわりつく時ほど・・・この先に待ちかまえているものを思って身の毛がよだつことはない・・・しかし最初に見た衝撃ほどではなかった、徐々に慣れていき、今ではほぼ感覚がマヒしてるのかもしれない・・・人間には適応能力がある証拠だ
「このホテルの地下の洞窟は、遥か昔、アイルランドの先住民がミシガン湖を渡って密かに移り住んでくるときに秘密の通路として作られたモノなんだ・・・そして私の先代の先代がここを隠す様にこのホテルを建てた、ホテルの経営なら色んな国の客が出入りしていてもおかしくないからね・・・この話はしたかな?」
「何回も聞いているよ」
しばらくすると、洞窟がスタジアムほどの広さになり、煌々とナイター中継ほどの外野ライトに照らされ、昼間のような明るさが広がった
「これからまた外国と一戦交えようとしている我々の同胞に強い武器がいる・・・そして我々は彼らの勝利のほんのひと助けをする」
二人の目の前には茶色の包み紙に覆われた物体が山積みされた大型トラックが6台停車していた、そしてミシガン湖に繋がっている波止場に三艘の大型貨物船が、ゆったりと浮かんでいる
ベルトコンベアーから忙しく荷下ろしが数十人の人の手で行われていた、ジャスティンがベルトコンベアーから茶色い包み紙に包まれた物体を一つ取り出して、包み紙ををほどいて中身をじっと見た・・・
そこにはサイレンサーの小型拳銃が、ひっそりと横たわっていた
まるで、誰かが自分に息を吹き込んでくれるのを待つかのように・・・
コメント
2件
ジャスティンが関わっている事を竜馬はまだ知らないのよね😔
うわあ、一気にスケールが大きくなったね!シカゴのカジノホテルの豪華な描写から始まって、地下に秘密の武器密輸ルートが広がっているなんて…。チャックの冷徹なビジネス感覚と、過去にジャスティンを拾った恩義を盾にした巧みな操り方がすごく印象的。ラストの銃が「息を吹き込まれるのを待つ」ような描写に背筋がゾクッとしたよ。158話も読み応えあった!