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春、部活動入部
私は五年生の頃の
陸上記録会が 忘れられなかった。
“陸上部に入りたい”
そうずっと思っていた。
さくやくんが陸上部の見学を
たつやくんとしているみたいだ。
ああ、やっぱり陸上部に入るのかな。
私も入りたいなあ。
高跳びやりたい。
しかし 、
陸上部に 入 ろうとする女子は中々いない。
1人で陸上部に入るのは精神的にきつかった。
茜「ねえ!同じ部活入ろうよ!」
そんなとき、茜ちゃんから誘われた。
ともか「うん、いいよ!」
私は了承してしまった。
部活動見学2日目
ともか「なんの部活入る?」
茜「親から運動部じゃないとだめって言われててさー!」
なら、陸上部に…
ともか「じゃあさ、陸上部とかは?」
茜「陸上部だけは絶対無理ー!絶対きついもん!」
ともか「…だよねー」
胸の奥では違うと叫んでいるのに、
私が発した言葉は肯定だった。
競技場の光景が
フラッシュバックし、消えて行く。
私の期待は砕け散る。
ともか「じ、じゃあテニス部は?」
テニス部なら外の部活なので
陸上部と会う機会もあるはず。
茜「日焼けしちゃうからやだ、それなら室内のバド部がいい!!」
ともか「いいね、バド部。楽しそう。」
茜「もう見学時間終わりだ!じゃあ決まりね!ともかちゃんじゃあね!」
ともか「じゃあねー!(笑)」
ああ、私は、
私は陸上部に入りたかったのに。
陸上部に入れないなら、
もうどこだっていい。
どうしてこんなことに。
でも、陽キャになるためには仕方ない。
仕方ないだろ。
胸のざわめきが収まらない。
私の心とは反対に空がやけに綺麗だった。
たつや「ともかちゃん!どこの部活入りたいか決まった?」
私の落ち込んでいる様子を見かねたたつやくんが話しかけてきた。
ともか「え、ああ、茜ちゃんとバド部に入ろうかなって思ってるよ。」
たつや「そうなんだ。」
ともか「たつやくんは?」
たつや「たつは陸上部に入るよ。」
ともか「やっぱたつやくんは昔からよく走ってたし、そうだよねー」
痛い。
胸がズキズキする。
私も陸上部に入りたい。
でも、陽キャになるためだ。
これくらいの犠牲は必要。
そこへ陸上部に所属している知り合いの先輩が話しかけてくる。
先輩「ねえ、ともかちゃんだよね?」
ともか「はい!」
先輩が話しかけてくれるなんて、
まるで本物の陽キャみたいだ。
しかし、一体先輩は何の用で話しかけてきたんだろうか。
先輩「陸上部入らない?」
ともか「え…」
先輩が発した言葉に私は驚く。
それは今の私にとって凶器のような言葉だった。
ともか「…ほんとは入りたかったんですけど、友達とバド部入るって約束しちゃってて!(笑)誘ってくれたのにごめんなさい!(笑)」
先輩「ううん、いいの!いいの!バド部いいよね~!」
断りたくなんてなかった。
たつや「ほんとにともかちゃんも陸上部入ればいいのになあ」
ともか「たつやくんみたいに体力無いから無理だよ(笑)」
自然と二人で帰ることになった。
彼と二人で夕焼けに背を向けて帰路につく。
彼が楽しそうに陸上部の話をする。
もう陸上部の話なんて聞きたくないのに。
その楽しげな表情が見ていて苦しかった。
十字路の道につき、私たちは分かれる。
たつや「じゃあね、ともかちゃん。」
ともか「じゃあね!」
もう辺りは暗くなっていた。
私は暗闇に溶け込むかのように 重い足取りで家路についた。