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答えは、運命?
「これは、没じゃない……?」
「……アカンな、没にしよ……」
俺と柔は二人で動画を撮っていたけど、色々あって没にしようとなった。
「で、でも使えるところもあるかもしれんからもう一回見よ?」
「そう、だね。見てみよう」
こうして動画を再生してみた。
「はい、始まったよ」
「柔と二人なんてわくわくするなぁ!」
「二人だけってなかなかないからね」
そう言いながら柔が俺の隣に座った。
ホンマに嬉しくて出だしから俺はテンションが高かったねん。
「さて、今日のお題は何ですか?」
柔が降ってくれたので俺は姿勢を正して画面を見た。
「今日はな、俺と柔のユニット曲『真・運命』の話をしていこうと思いますっ!」
「いえーい」
二人でパチパチと拍手をした。
「まず何から話そか?」
「んー、じゃあ、俺から質問していい?」
「ええよ!」
「舜はあの歌詞を読んだとき、仮歌でもいいんだけど、第一印象がどんな風に感じたかなって思って」
優しい目で俺を見てくる。
俺はその目を見ながらうーん、と考えた。
「せやなぁ、曲はクラシックとロックが融合したカッコええ曲やなぁって思った。歌詞も女性視点で書かれてて、ドキドキとかワクワクじゃなくて歌詞にもあるけど『私の運命の人』というのを前面に押し出してきとるなぁって思った。
あと、柔の長いセリフも好きやなぁ。あれもこれも好きや」
柔は? と聞き返すと、柔は頷いてから口を開いた。
「俺が感じたのはこの主人公となる女性は一回別の人と恋をしてるのかなって思った。その上で出会った人が『運命の人』なのかなぁって」
「はー、なるほどなぁ。そう解釈はせんかったなぁ。新しい視点や」
「あとは舜がロングハイトーンを出すところも好き。五人だとそういうところって他の三人じゃん?」
特に年長二人、と柔が付け足した言葉に俺も頷いた。
「せやなぁ、あんまりないなぁ」
「あれは素直にかっこいいと思った」
「ホンマに? 嬉しいなぁ」
思わずえへへって声が出てしもうた。
「もう一個あってさ、俺と舜の声が凄くシンクロっていうのかな、波長が近くて声が一つになったような感覚になった」
「俺も思った。凄く耳にしっくりくるねん」
「そうそう。そういう細かいところだけど好きなところがいっぱいある」
分かるわーって頷いてからカメラに向かって俺はびしっと指を立てた。
「ええ曲だからね、みんな見てな!」
「俺たちが勧めた以外でも気に入ったフレーズがあったらコメントに書いてね?」
ちゃんとみんなにアピールと絡みたいことを伝えたあと、また柔が質問を投げてきた。
「じゃあ、衣装については?」
次の質問が来たから俺は待ってましたと言わんばかりにソファの上で飛び跳ねた。
「めっちゃカッコええ衣装やった! お互いのメンカラと、俺は黒も入って対照的よなぁ。柔はキラキラした国の王子さまみたいやった。あと、ティアラも可愛くもカッコ良かったで」
素直に言うと照れくさそうに柔が笑った。
「そこまで言われるとちょっと恥ずかしい」
腕で顔を隠して照れてるのを誤魔化した。
「でもそれを言ったら、今回の舜は今まで以上に男っぽいっていうか、大人の男って感じがした。衣装も赤のパンツスタイルの上に黒のハードチュールってかっこいい」
「歌詞や衣装のお陰もあると思うねんけど、運命的な人に出会えた確信を伝えるのには可愛いはいらんよなって思ったんよね。歌もダンスもそういう気持ちで挑んでた」
「俺は隣にいたからそれが凄く伝わった。本当にかっこいい舜が見れたって思ってる」
普段可愛いばっかり言う柔がそういうとなんか恥ずかしくてジタバタしてもうた。
「アカン、なんかむず痒いっ!」
「あははははっ。でもね、舜は可愛いだけじゃないんだよ。こういう男っぽいところがまたいいの。分かる?」
見どころだよ、と付け足す柔にもぞもぞが止まらなくて肩でタックルした。
「もうええって、やめてや!」
「タックル強いって!」
少し落ち着こうということでお茶を持って来て一息ついてから続きを話し出した。
「振り付けも柔らかめというよりハードだったね」
「せやね、細かい振りも多き振りも動きが早いとかというよりはパキッとしたのが多かった」
「柔らかい部分って最初数秒じゃない?」
「ああ、柔が俺の顎を悔いっとするところな。あのときの柔の視線がカッコよかったなぁ~」
「普段、なかなかやらないもんね」
一瞬『普段』で区切ったかな? と思って柔を見ると、少し赤くなっていたので首を傾げた。
「せやな、なかなかやらんな」
「あのときの舜の顔も、俺を見下ろしながらも色気があったよね」
「そやな、色気と色気のぶつかり合い?」
面白かったと笑うと、柔が視線を逸らせたまま帰ってこなかった。
「柔?」
「ごめん、何か色々恥ずかしくなってきた」
「止めよか?」
「うん、ごめん」
そうして動画を止めたのである。
「ホントごめん、これ以上言うと舜のことガチのトーンで好きって言いそうになっちゃう」
無理、と言って柔は顔を抑えたまま俯いてもうた。
「俺もそうやで。振り返ってみて曲の好きとかより、柔のカッコいいところ見て! という気持ちで撮ってしもうた。だからお互い様やで? この曲やないけど、俺と柔は運命の人やからしゃあないねん」
な? というと、柔は俺の腰辺りを抱き付いてきた。
「有り難う。この穴埋めはするから」
「ええって言うとるのに」
よしよし、と頭を撫でていると、柔がどんどん俺によじ登ってきた。
「無理、今する」
「は?」
見る見るうちに俺はソファに押し倒された。
見上げた柔はとても色っぽい目で俺を見下ろしてきた。
「え、待って待って。心の準備が出来てへんって!」
アカンって言っても柔は柔の唇を舌なめずりしながら上着のボタンを外して、俺の服のボタンも外していった。
「無理。収録してるうちにこっそりその気になってたから」
「なってから。……やないねん! なるな! ちょっと!」
「運命、しよ?」
「上手いこと言って誤魔化すなっ! あっ、柔……ッ」
結局流されてまうんよなぁ。
やっぱり運命なんかな?
終