✿紫視点
本当に好きだった・・・いや、今でも好きなんだ
かっこいいのに時々可愛くて、たまにぬけてるとこもあって・・・誰よりも優しくて・・・
だからこそ告白して、付き合って、恋人になって、俺が幸せにしたかった
あの時怖気付いた自分を殴りたい
気持ちを伝えなかったこと、一生後悔してる
今更もう・・・遅いんだろうか
「あー・・・腹減った、いつもの店でも行くかぁ」
俺は高校を卒業してから大学へと進み、授業のない時はバイトやら何やらと中々に充実した日々を送っている
『いらっしゃいませーってなんだ、まぜちじゃん』
「なんだってなんだよ・・・」
ここは大学からも近く、飯も珈琲も自分好みでお気に入りの店だ
店員であるこのピンクの髪の先程失礼な態度をとってきたこいつは高校の同級生で、気兼ねなく話せる仲だ
なので、ついついいつもここに来てしまう
いつもと同じ窓際の席に座り、メニュー表を見る
「えーと、今日は何にしよっかなぁ・・・」
『今日のオススメはビーフカレーだよ』
「へぇ、じゃそれで」
『はーい』
『あ、そうだ』
注文を終え、何気なくスマホをいじっているとけちゃおが何かを思い出したかのように口を開く
『まぜちってさ、今パートナーいるの?』
「・・・パートナー?Subの?」
『うん、まぜちってDomじゃん?だからどうやって欲求を解消してるのかなって』
「・・・あぁ、そういう店にたまに行ってるぜ、簡単なCommandだけの軽いPrayが出来るとこ」
『ふぅーん?そっか、あのさ・・・』
なんだか気まずそうに、けちゃおが鍋のカレーを混ぜながらこちらの様子を伺ってくる
「はっきり言えって、なんだよ」
『うん、あっちゃんの事・・・覚えてる?』
「・・・、あっと・・・?」
久しぶりに口にした、好きな人の名前
高校を卒業してから全く連絡も取れず、会うことも話すことも無くなっていた
それでも今でも好きな事には変わりはなくて、ただ会いたい、ずっとそう思っていた
「あっとが、どうかしたのか?」
なるべく冷静を装って話を促す
何でもいい、あいつの事を知ってるのなら何でも聞きたかった
『最近ね、ちぐと買い物してたら偶然あっちゃんに会ってさ・・・それでちょっと話したんだけど・・・』
けちゃおの表情が曇り始める、どうやら楽しい話ではないらしい
「・・・それで?」
『あっちゃんさ、今パートナー居るんだって』
は?
「・・・パートナー?」
『うん、あっちゃんSubでしょ?それでDomの人にパートナーになって欲しいって言われてそれをOKしたんだって』
誰だよそれ、俺以外の奴があっとのパートナー?
何であっとも了承したんだ・・・?
誰でも良かったのか?
それが連絡が取れなくなった理由なのか?
そんな疑問が頭の中をぐるぐるとしているのもお構い無しに話は進んでいく
『でもね、あっちゃん辛そうだったんだよ』
「・・・え?」
『Prayって信頼関係があってこそ成り立つものなのに、それが全く出来てないっぽくて・・・』
「一方的なのか?」
『うん、話を聞く限りそうなんだと思う・・・』
何でそんな事になってんだよ
そんな事になるぐらいなら何で俺に助けを求めなかったんだ・・・
「あっとの連絡先、教えてくれ」
『ごめん分かんないんだ、何か教えちゃダメって言われてるみたいで』
どんだけ手放したくないんだよそいつは
どうせ、あっとのことを良いように使ってるだけのくせに・・・っ
「・・・っじゃあ、前会った場所教えてくれ」
とにかく会いたい
前は伝えられなかった気持ちを伝えたい
お前と会えなくなってからどれだけ焦がれていたか
今が辛いのなら・・・俺が助けたい、傍に居たい
いっぱい甘やかしたい、可愛がりたい
これ以上会えないのは、限界だー。
コメント
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最高でした! 続き頑張ってください!