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最高すぎる続き待ってます!
あれから1週間
けちゃおに教えてもらった、前回偶然出くわしたという場所に通ってはいるがあっとには出会えない日が続いていた
その場所というのは結構な繁華街で、人通りも多く・・・居たとしても、もしかしたら見逃していた時もあったのかもしれない
やっぱり、このまま会えないのか・・・
今日は諦めて帰るかな
「・・・・・・まぜ?」
そう思い帰り道の方向に足を向けると、後ろから声が聞こえた
声量はとても小さかったけど、間違いなくあっとの声だ
俺は驚き振り返ると、少し離れた所にあっとは立っていて、目が合った瞬間”しまった”というような表情をし慌てて俺のいる方向とは逆に走っていってしまう
「・・・は?え、ちょっと待て!あっと!!」
「・・・っ」
はっと我に返り急いで後を追いかける
「お前・・・!なんで逃げんだよ!」
あっとは何も答えずにひたすら逃げるが、なんとか追いつくことが出来て逃げられないように手を掴む
「・・・っ!・・・ごめん、離して・・・」
「お前が逃げないって言うならな」
「・・・・・・」
「・・・けちゃおから話はある程度聞いたけどさ、今お前どんな状況なの・・・?」
あっとは俺が掴んでる手を振りほどこうとはせずにずっと俯いている
「・・・あっと?」
「場所、変えよ・・・?」
「あ、あぁ」
繁華街を抜けて、もう夜ということもあり人通りの少ない川沿いの道に出る
「ここなら良いかな・・・」
「・・・」
「まぜはさ、何で俺が逃げた時Command使わなかったの?その方が追いかける手間が省けたのに」
「そんなの、無闇に使うもんじゃないだろ 」
「・・・そう、だよな」
確かにあっとが逃げたあの時、『Stop(止まれ)』って言えばあっとの言う通り手間も時間も省けたかもしれない
でもそれだけは絶対にしたくなかった
お前に・・・一方的な命令をするのは嫌だった
「話してくれないか?」
「・・・いいよ」
✿赤視点
俺はずっとまぜのことが好きだった
だから高校卒業と同時に告白しようと決めてたんだ
でも、卒業式の日・・・まぜが女の子に告白されてる所を見てしまった
そして自分がしようとしていたことが、なんて馬鹿げてるんだろうって気付いてしまった
男同士で、ずっと友達として仲良くしてたやつに恋愛対象で見られてたなんて知られたら・・・絶対に気持ち悪いって引かれる
そんな・・・少し考えたら分かることにこの時初めて気付いた
そして告白はせずに、卒業して、連絡もとるのをやめた
会えばこの気持ちを捨てきれなくなるから
どうしても、自分だけを見てほしいと思ってしまうから
もう関わらないようにしようと思ったんだ
そしてそれから1年ぐらい経った時に
俺は外でSubの発作を起こした
長年抑制剤で押さえつけてたものが限界を超えたんだろう
その時に声をかけて助けてくれたのが今のパートナーの人だった
『大丈夫ですか?』
「あ、えっと・・・」
『失礼かもしれませんが、Sub・・・ですよね、俺Domなんです』
「はぁ・・・」
『簡単なCareで良ければ出来ますよ』
「ぇっと・・・じゃあ、お願いします・・・」
発作が辛くて、何でもいいから楽になりたい一心でお願いした
今思えばこの選択が間違いだったのかもしれない
『Good boy(良い子)』
優しく頭を撫でてくれた
それだけで凄く満たされた気持ちになって
パートナーになってほしいと言われ了承した
でもそれからは褒められることは一切無くて
一方的な、やりたくもないCommandを使われる日々だった
『Come(来い)』
「ぁ・・・」
『Kneei(跪け)』
「あの、今日は・・・っ・・・な、何でもない・・・」
逆らえばもっと酷いことをされる
泣くことも許されなくて、痛くてもひたすら耐えなきゃいけなかった
「それで今 って感じかな」
「・・・っ、なんだよそれ」
「離れようって思った、けど結局・・・逆らえなくて・・・」
「あっと、俺がパートナーになる・・・!絶対に辛い思いなんてさせないから」
「・・・っ、話、聞いてた・・・?俺まぜのこと好きなんだよ?気持ち悪いでしょ?」
その瞬間、体が心地良い温もりに包まれた
「え・・・?」
「俺も同じ気持ちだよ」
背中に回された腕に少し力が込められる
「俺もあっとのこと好きだよ」
「・・・っ、嘘・・・」
「こんな嘘つかねぇって」
「だって・・・!!」
「・・・はぁ」
頬に手が触れたと思った時、唇に柔らかい感触がする
「んっ」
「・・・これで信じた?」
「ぇ、ぁ・・・」
「はは、顔真っ赤じゃん」
「だ、だって急にするから!」
顔が熱いのが分かる
赤くなった顔をこれ以上見られたくなくてまぜの肩に顔をうずめる
「可愛いな」
「・・・あの日の、女の子からの告白・・・どうしたの」
「ん?あぁ・・・普通に断ったよ、俺はあっとしか好きじゃなかったし」
「そう、だったんだ・・・」
あの時離れなければ良かったのかな
逃げたりしなければ、今こんなことにはならなかったのかな
そうすれば、もっと一緒の時間があったのかな
出てくるのは後悔ばかりだ
「・・・過ぎたことはもうどうにもならないんだからさ、これからの事を考えようぜ」
まぜは俺の考えてた事なんてお見通しのようで、前向きな言葉をくれる
「うん・・・俺、今の人とパートナー解消したいって話してみる」
「! そうか、俺もその時一緒にいようか?1人だと何されるか分かんねえだろ?」
「・・・ううん、大丈夫・・・っ1人で何とかする!・・・でも、その後はすぐに会いたい」
「あぁ良いよ」
俺たちは連絡先を交換してこの日は別れた
ちゃんとあの人とパートナー解消出来るかは不安だし怖いけど・・・これからの為に頑張ろう