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塩
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休日の午後、穏やかな光が差す部屋で、イギリスはソファの肘掛けに肘をついて、何かをじっと見つめていた。
タブレットの画面には、丸まった耳の、ふわふわの毛玉みたいな猫の写真。
仏「……あれ? なんか見てるじゃん。動物の動画?」
英「ええ。……最近、こういうの、よくおすすめに出てくるんですよ」
英「この丸い耳の……スコティッシュフォールドって種類、でしたかね。やたらと癒されるんです」
仏「ふ〜ん……」
フランスは隣に腰を下ろし、イギリスの肩越しに画面を覗き込む。
仏「……かわいい、ね」
仏「でも、実物の方が癒されるよ。たとえば僕とか?」
英「何言ってるんですか……自分で言うことじゃないでしょう、それ」
仏「じゃあ、君が言ってよ」
フランスはちょっとだけ顔を寄せて、にやりと微笑む。
英「……うるさいです。今は猫の話をしてるんですから」
仏「そっか……じゃあさ」
英「?」
仏「飼ってみよっか、猫」
英「……は?」
仏「一緒に住んでるんだし、家も広い。僕は在宅だし、君だって定時で帰ってきてる。ちゃんと世話できるよ」
仏「君が癒されるなら……それに、僕も猫、好きだし」
英「……本気で言ってるんですか?」
仏「うん。だって君、最近ちょっと疲れてそうだったから」
英「……」
英「……気のせいですよ」
仏「じゃあ“君の笑ってる顔がもっと見たいから”って言い直そうか?」
英「……バカじゃないですか」
英「……でも、そうですね。もし、そういう子がうちに来たら――」
英「たぶん、毎日が、ちょっとだけ変わるかもしれませんね」
仏「うん。じゃあ、明日、一緒に見に行こうよ。猫カフェと、……里親募集してるとこ」
英「……そんなに早く決めるものなんですか」
仏「タイミングって、大事でしょ?」
英「……本当に、勝手に話を進めるの、得意ですよね」
仏「でも君、笑ってるじゃん」
英「……うるさいです」
仏「はいはい」
フランスは笑いながら、イギリスの肩にちょっとだけ頭を乗せた。
その距離感が、猫を迎える前から、もうどこかあたたかくて――。