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『 雪 』@夏休み期間毎日投稿
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成瀬りん
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俺が何とか使えるようになった術式『光投槍』。
小鬼の洞穴のボス戦では、おそらくメインの攻撃手段となるはずだ。
ということで出発までの1週間、俺は『光投槍』の練習を続けた。
発動までの時間を縮める。
走ったり、攻撃をかわしながらでも発動できるようにする。
実戦を想定した立ち回りをシミュレーションする。
動く魔物へ当てる練習も少しだけ。
だが俺がLVアップしてしまわないよう、回数は控えめにしておいた。
ボスの【魔王の援護】強化値に影響する可能性があるからな。
アイテムの調達も万端だ。
前回の売却金がそれなりにあったから、回復薬を中心に多めに購入。
「食料は……あ、まだこんなに残ってる……」
ふと【収納】の中身を確認した俺は、予想以上の残りっぷりに驚愕した。
そこそこ食べるウォードや、大食らいのダガルガの分も含めて十分すぎるほど。
……この間は、さすがに買いすぎたかもな。
装備品も新調した。
先日のボス戦で、俺はミスリルバックラーを紛失してしまった。
剣は勝手に戻ってきたが、盾までは戻ってこなかった。
かわりを探すべく、テオとともに向かったのは職人街の中古防具店。
以前『革の軽装鎧』を買ったお店だ。
「やっぱりミスリル製は軽くて丈夫ですから……これ使うと鉄とかには戻れなくなっちゃいますよね!」
前回親切にしてくれたドワーフの女性店員。
彼女の言葉にうなずきつつ、俺はミスリル製の丸盾に決めた。
以前と微妙にデザインは違うけど、重さも形も近い、お手頃価格の1枚。
リベンジまでの期間が短い今、すぐに使いこなせるのはこれしかなかった。
ちなみに元々愛用していた盾は、ダガルガに貰った物だった。
エイバスの街に戻った際、落としてしまったことを謝ると、彼は「気にすんな! お前らが無事でよかったぜっ!」と笑って許してくれたのだった。
新調した盾も装備した、現在の俺のステータス(偽装なし)がこちら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
名前 タクト・テルハラ
種族 人間
LV 11
HP 124 / 124
MP 74 / 74
物攻 82
物防 46
魔攻 58
魔防 37
■状態
発動中【能力値倍化LV5★】(HP+62、MP+37、物攻+36、物防+12、魔攻+29、魔防+11)
■称号
勇者、世界を渡りし者、神の加護を受けし者
■スキル
光魔術LV1、剣術LV1、能力値倍化LV5★、収納LV1、技能習得心得LV1、鑑定LV1、神の助言LV1、言語自動翻訳LV1、攻略サイトLV1、偽装LV1、防御LV1、気配察知LV1
■装備
手作りの片手剣:物攻+10、製作者の愛がたっぷりこもっている、とても丈夫で軽く初心者に最適な剣
ミスリルバックラー:物防&魔防+15、軽くて丈夫なミスリル製
革の軽装鎧:物防+7、軽くて動きやすい革製の鎧
布の服:一般的な布製の服
革のブーツ:一般的な革製のブーツ
ある旅人のマント:ある旅人が自分好みにこだわり製作したマント、【耐久加工LV3】【防汚加工LV3】
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『ニルルクの究極天幕』の件で、俺は加工系の有難みに気づいた。
そしてなんと、俺の愛用マントにも【耐久加工】【防汚加工】がついている。
ともにLV3ということで、普通に使う分には安心して使えそうだ。
だが、他の装備は別である。
剣・盾・鎧・ブーツは手入れが必要だし、布の服は洗濯しなきゃいけない。
幸い、洋品店で初期装備と似た服を見つけたので、10着まとめ買いしておいた。
当面はそれで十分足りるだろう。
ゲームで装備を選ぶとき、俺は攻撃力を重視していた。
防具は見た目重視、性能はそこそこでOKだったが……現実では安全第一。
余裕ができたら、もっと防御面を固めていきたいところだな。
なお俺は正体を隠すため、ステータスを【偽装】している。
今までは『記憶喪失の見習い剣士』として通していた。
だが、そこそこ戦えるようになった今、“見習い”を名乗り続けるのも不自然だ。
テオと相談した結果、今後の称号は『剣士』に【偽装】することに決めた。
続いて、テオの現在のステータスがこちら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
名前 テオドーロ・コーディー
種族 人間
LV 38
HP 376 / 376
MP 342 / 342
物攻 187
物防 138
魔攻 197
魔防 145
■状態
健康
■称号
吟遊詩人、器用貧乏
■スキル
万能術LV5★、茨の道LV5★、剣術LV1、槍術LV1、鞭術LV1、弓術LV1、投擲術LV1、火魔術LV1、水魔術LV1、風魔術LV1、土魔術LV1、魔術合成LV1、魔術付与LV1、加速LV1、隠密LV1、鑑定LV1、偽装LV1
・
・
・
※以下すべてLV1のスキル、多すぎるため略
■装備
シュミルの魔銀鞭:物攻+36、魔攻+20、シュミル製作
ロゼリアーナハット&コートセット:物防&魔防+54、ロゼリアーナ製作、【防護加工LV3】【耐久加工LV3】【防汚加工LV3】【防水加工LV3】【防燃加工LV3】
ミスリルイヤーカフ:ミスリル製のイヤーカフ
ミスリルネックレス:ミスリル製のネックレス
銀の懐中時計:銀製の懐中時計、【防水加工LV3】
魔法鞄LV3:【収納LV3】相当量の所有物を収納できる
(※以下、魔法鞄内の主な武器。状況により持ち替え可能。)
シュミルの魔銀短剣:物攻+45、魔攻+20、シュミル製作
シュミルの魔銀剣:物攻+68、魔攻+20、シュミル製作
シュミルの魔銀槍:物攻+72、魔攻+20、シュミル製作
シュミルの魔銀弓:物攻+51、魔攻+20、シュミル製作
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なお【防護加工】は、防具に魔力を纏わせて、防御機能をもたせるものだ。
ゲームでも、服系の高機能防具に必須の加工となっていた。
お互いの戦力確認中。
俺には、少々気になることがあった。
「……テオ。このロゼリアーナハット&コートセットって何処で入手したんだ?」
「ロゼリアーナ本人に直接依頼して、オーダーメイドで作ってもらったよ」
「えッ!?」
製作者・ロゼリアーナは、ゲームにも名前が登場する服飾職人である。
細部やシルエットにこだわった独自のデザインが持ち味だ。
だがロゼリアーナ自身の姿を直接見たプレイヤーは誰もいないはず。
どこに住んでいるのか、どんな外見なのか、その一切が謎。
作品の流通自体も限られている。
少量だけ市場に出回る装備品、一部の仲間の初期装備ぐらいしか見当たらない。
だからロゼリアーナブランドの熱狂的な収集家たちは、攻略サイトで情報を交換しつつ、その新たな作品を探し続けているのである。
かつてのぞいた掲示板での熱いやり取りを思い出す。
それから恐る恐る、テオに聞いてみた。
「……そのロゼリアーナって……いったいどんな人なんだ?」
「う~ん、本人が隠したがってるからなぁ……俺の口からは言えないや!」
「そっか……」
プレイヤーたちが追い求める『秘密』の糸口の1つを、偶然知ってしまった俺。
いつかその糸を辿ってみたいと好奇心をくすぐられるのであった。
<おまけイラスト>
33話時点のタクトとテオの全身&装備解説