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「暴君ネロンパトラ、覚悟!」 そう叫びながら先頭に立って余の前に駆け込んできたのはブラッキー将軍その人だった。ブラッキー以外にも大軍を預かる将軍たちの顔が彼の周囲にはあった。みな余を裏切ったのだ。この反乱は周到に準備された大がかりなものだった。
「ブラッキー将軍、お話が――」
「もうおまえは用済みだ。話など聞かぬ」
ブラッキーは士官の男を一刀両断に斬り下げた。
近衛兵たちが必死に応戦するが、反乱軍はそれを圧倒しつつあった。余がまともに戦えれば逆転できる自信はあるが、爆発のダメージからの回復には数日かかりそうだ。さすがの余も死を覚悟した。
「魔王陛下、失礼いたします!」
突然誰かの背に乗せられたと思ったら、マコティーだった。余は必死にマコティーの背中にしがみついた。マコティーは余を背負いながら剣を振りかざし、次々に敵を倒して活路を開いていった。
陣地の中に寝泊まりするための簡素な小屋が無数に作られていたが、マコティーは余をおぶったままその一つに逃げ込んだ。余は簡易ベッドに寝かされ、マコティーは小窓から外の戦況を見守っている。
「しばらくここで反乱が収まるのを待ちましょう」
マコティーがそう言ったのは余を安心させるためだったに違いない。反乱軍が優勢なのは誰の目にも明らかだった。
「マコティー、案ずるな。余は敗れたが、死んで終わりではない。さっき転生魔法を自分にかけた。余は死んでも生まれ変わり、必ず裏切り者のブラッキーに報いを与えるであろう」
「魔王陛下、転生魔法をわたくしにもかけていただけないでしょうか」
「最後まで余に尽くしてくれたおまえの頼みなら聞かぬわけにいかぬな」
転生魔法をマコティーにもかけた上で、余はマコティーにここを立ち去るように命じた。