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❤️視点
窓の外はもう冬一色で、朝顔は咲ける時期じゃない。
もう枯れてしまった朝顔の種を棚にしまって、独り物思いにふける。
入社2年目の何ら変わりない日常。誰かに恋をすることもなければ、新たな出会いがあることも無い。
むしろ一緒に遊ぶ友達が減っていたり、残業続きで会えない人が増えたりと、寂しさが残るだけだ。
❤️あーあ。ひとりってつまんね。
そう呟いても一人なことには変わりない。
年齢=恋人いない歴の俺には、寂しさを埋める方法が思い付かない。
❤️マッチングアプリはなんか怖いし、職場の人はちょっとな…
スマホを開くと、時刻は3時25分。明日も仕事があるし、もう寝なきゃ。
❤️誰か一緒にいてくれる人がいたらなぁ…
🩷わかる。ひとりって寂しいよなぁ~。俺も誰かとしゃべりたいもん。
❤️は…?
いつの間にかベッドの端の方に、髪をピンクに染めた若そうな男が座っていた。でも、どこか輪郭がぼやけている。
🩷え!?その反応、俺のこと見えてたりする!?
❤️え、見える…けど…
🩷まじかぁ~!はじめて俺のこと見える人に会えたぁ~!!
ピンク髪は大袈裟にガッツポーズをして、俺の肩を掴んで揺さぶった。
❤️いや、あの!いったん落ち着いて?ちょっと状況を飲みこめない。
🩷あ、ごめーん笑
ピンク髪の男は、がははっと笑った。
もう一度頭の中を整理してみる。夜中の3時に、ピンク髪のやつが部屋に来て、なんか変なこと喋ってて…
これはまあ、通報しなきゃいけないやつだよな。
❤️不審者なんですか?
🩷え?嘘でしょ。今の話の流れ的に俺、幽霊でしょ笑笑
❤️そうなの?はっきり見えるから人間かと思った。
🩷不審者に「不審者ですか?」って普通聞かねえだろ笑笑 いや~面白いわ~。名前、何て言うの?
❤️俺?俺は、宮舘涼太。
🩷涼太か!いい名前だな。うん、ぴったりだ。
❤️そういう君は、何て言うの?だいぶ俺より若そうだけど。
🩷俺っちはねぇ……サク。
うーん。とサクは間を置いて考えてから答えた。
❤️サクね。覚えた。
🩷若いっていうか、高校のときに死んだからかな。
❤️ふーん。病気とかで?
🩷いや、まあ…そんなとこ。あ。あと俺、生きてるときに涼太に会ったことあるよ。
❤️え?そうなの?
🩷うん。まー覚えてねーよなぁ。
❤️……
🩷あれ?涼太ぁ?
そこで、俺の意識は途切れた。
気がつくと朝になっていて、時刻は8時。サクはいなくなっていた。
と言うか、あと三十分で家を出なくちゃいけない。完全に寝坊した。やばいやばいと大急ぎで準備をして、満員電車に乗り込んだ。
職場に着くと、5分の遅刻だった。ギリギリ間に合わなかった。上司に、いつになったら遅刻しないのかだの、新人にたまには良いところ見せろだの、いろいろと言われた。
怒られている間にも、俺は昨日突然現れたサクのことを考えていた。
🖤朝から災難っすね。
そう言って、入社1年目の目黒が俺のデスクにコーヒーの入ったマグカップを置いてくれた。
❤️まあ、いつもこんな感じだけどね。慣れてるから全然平気。
🖤流石っす。今日も頑張りましょうね。残業つらかったら俺にいつでも言ってください!何でもします。
❤️ほんと?気持ちはありがたいけど、目黒くんにはそんな雑用とかさせらんないよ。これくらい自分でできるから。心配ありがとな。
🖤そうですか…では、失礼します。
❤️うん。ありがとう。
目黒は俺の方を名残惜しそうに見てから、呼ばれている女の子たちの方へ歩いていった。
目黒は新入社員なのに仕事も完璧にこなすし、モデルのようなスタイルと甘いマスクで会社全体から爆モテしている。
俺になんか構っている暇なんかないだろうに。きっと誰にでも優しいやつなんだろうな。
何とか20時までにノルマが終わり、帰途についた。
❤️ただいまー。
誰もいない部屋に声をかけても、返事は返ってこない。
はずだった。
🩷あ!涼太おっかえり~!
❤️え。
🩷今日は早いんだね。おつかれ!
昨日と同じ場所にサクが居た。嬉しそうにぶんぶんと大きく手を振っている。
🩷え?見えてるよね?おーい涼太ぁ~?
❤️うん。見えてるよ。昨日いなくなったから、もういないのかと思った。
🩷まさかぁ。夜しか見えないだけだよ。
❤️そういうことね。
サクは自分の声が俺に届くことが嬉しいようで、ずっとニコニコとしている。
❤️そういえばサクは、何でずっと俺の部屋にいるの?地縛霊ってやつ?
🩷ん?あーそれね~
サクは俺の生活を脅かすこともせず、なんのメリットがあって俺に姿を見せているのか分からない。
❤️聞いちゃいけなかった?
🩷んーん。実はね…
サクの声は俺にしか聞こえないのに、わざわざ俺の耳に顔を寄せた。
🩷俺、涼太のこと好きなんだ。
❤️…うん?
ふふ、と笑って、サクは人差し指を立てて唇に当てた。
サクの放った言葉を理解するのに、俺は長い時間を有した。
Next・第2話 触れたい。