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#風見裕也
#降谷零
花梨
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#ポケモン夢小説
1.組織での生活 “組織”に拾われてから5年、俺は13歳。妹・杏咲もすっかり成長し6歳。早くもその顔全面から可愛らしさが溢れている。 親馬鹿だろうか?この場合兄馬鹿と言うべきだろうか?とにかくその頃から既に顔が整っていた。
謎の黒ずくめの組織に入れられた俺たちは思っていたよりまともな生活を送ることができていた。色々監視はつけられていたけど、妹はごく普通の子供と同じように幼稚園に通っていたし、俺も俺でごくごく普通に小学校に通っていた。 なぜか馬鹿みたいに何度も転校をさせられてはいたけど、俺たちの世話をしていた末端の構成員らしき人に問うてもその理由は教えてもらえなかった。
大人の事情、といったやつだろうか。
妹が小学校へ入学するタイミングで、俺は再び幾度目かわからない転校をした。
行き先は前より少し離れたところにある小中一貫校。 小等部に妹、中等部に俺。別々だと面倒だからどうせならと一緒にされたのだろう。それはいい。
─ある日の放課後に、妹が目に涙を溜めながら俺の元に来たことがあった。
『杏咲…!どうしたんだ、一体何が…』
『─わるぐちいわれた』
『え…』
悪口?誰に?俺は少し固まって、それから我に返って妹の目を覗き込んだ。
どうやら妹曰く、近々ある授業参観で作文を読み上げることになったらしい。
テーマは「わたしの名前」
それだけでもう察しがついた。
自分の名前の由来を親に聞き、それを作文として書くお決まりのアレだ。
杏咲は─妹は両親のことを知らない。当時の記憶がないからだ。
父は妹が生まれる直前、米国で任務中に事故死したと聞いた。
母は俺が殺した。 他でもない、俺が。
妹はクラスメイトから両親がいない話について首を突っ込まれたらしい。
「親がいないなんて普通じゃない」と。
何も言えなかった。黙って妹を抱きしめることしかできなかった。
“親がいないのは普通ではない”?じゃあその”普通”を壊したのは?俺だ。いじめられるような原因を作り、幼い妹にこんな思いをさせたのは?それも俺だ。
妹のクラスメイトが放ったその言葉にそれほど深い意味を込めていたわけではないのは分かっている。もしかしたらその本人に妹をからかう気は全くなく、心に思った疑問を正直に投げかけただけだったのかもしれない。子供というのは良くも悪くも純粋無垢で素直だ。
分かっているけど、俺はそのたった一言でざっくりと心を抉られた。
俺があの生活に耐えていれば。俺が度重なる人生の選択を見誤らなければ、妹が学校で嫌な思いをすることはなかったというのに。普通の生活を送ることができていたはずなのに。
現にこれから先、妹は数々もの罪を犯すことになる。それは俺も同じだ。
俺たちが入ったのは凶悪犯罪組織だった。
こんなに大量の幹部や構成員を集めて一体何をしたがっているのかはわからない。末端の俺たちには知る由もないことだ。
ただ一つ言えることは、この組織は「目的達成のためならどんな手段も厭わない」ということ。
情報が漏れたり正体を見られたり、計画の邪魔になりそうな人物はすぐに殺す。仲間が裏切って組織を抜けようもんなら1発アウト。その時点で既に命はない。
証拠隠滅のために仲間や標的が住んでいた家にもガソリンを撒いて全てを焼き尽くすし、機密情報を盗むためならたとえどんなところだろうと不法侵入する。爆弾を使って建物を破壊することすら何ともなしにやってのけてしまう。
そんな集団に、俺たちは加担してしまっている。
犯罪者だ。俺たちはごく普通の子供になりきってるだけの、紛れもない犯罪者だ。
俺は選択を間違えただけでなく、その選択に命より大切な妹すらも巻き込んだ。
今更後悔してももう遅いというのもまた、俺は分かっている。
結局、妹は嘘をでっちあげて作文を書き、発表した。
外の生活をするときのために使わされていた偽名の由来なんて、その辺の紙切れよりも薄っぺらだった。
2.新入り
俺の昔ばなしはまだ続く。 えぇと…次は何を話すべきか。
そうだ、あの話をしよう。
俺が16の頃、当時俺たちが住んでいた組織所有の施設の隣室に新入りがやってきた。
女の子が2人。姉妹だ。どちらも俺より歳下のようだ。 開け放された扉の前をたまたま通った時に、部屋の隅っこで小さな少女がさらに小さい少女を庇うようにして座り込んでいたのが見えた。顔はよく見えなかったけど。
もしかしたら何かの機会で一緒になることがあるかもしれない。俺よりあの子たちの方が妹と歳が近いだろうから、仲良くなるチャンスかもしれない。
俺は早速杏咲にその話をした。
『隣人?』
『あぁ、お前も俺ばっかとずっと喋ってるより、歳の近い友達ができた方がいいんじゃないかって思って』
『…私は兄さんがいればそれで十分なんだけど』
『んん…まぁそう言わずに!話してみればきっと楽しいぞ』
『……』
あまり気乗りしないようだった。
杏咲は昔から極端に人と話すのが苦手で、そのせいか交友関係もまともに築けていなかった。誰に似たんだか、その頃からいつもツンとしていて素っ気ない態度だったのを覚えている。俺とは正反対だ。人と話すのはこんなにも楽しいことなのに。
対面のチャンスを待っている間に、隣室の姉妹たちはどこか遠くへ行ってしまった。
どうやら海外留学に行かされたらしい。さすがに妹の方はまだ3歳とか4歳とかそのくらいに見えたから海外には行ってないだろうけど、それにしても留学なんて… 姉の方だってまだ高校生の俺よりずっと小さいのに…
俺以外に杏咲が心を開ける相手が1人でもできればいいとそう思っていたけど、俺や杏咲がその姉妹たちに会うのはまだ先の話。
─昔ばなしはこれぐらいにしておこう。俺が長々と語るのを聞いてもらうよりは見てもらった方が早いだろうから。
百聞は一見に如かず、と言うし。
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