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コメント
11件
さすがに天才すぎませんか??? 端々から文才が溢れ出てる、、これを見てからまた最初から見直すと伏線いっぱいありましたね〜。。 三人の役もめっちゃ合ってると思います!!! 大森さんとかめちゃくちゃ想像できる、、、
完結してしまった.........うわぁぁぁぁ、、面白かったです、すっごく😭まさか💛さんまで...「親友」の中に入るとは...ぅぅぅなんか言葉に言い表せない良さが...😭結局この3人の関係も飽きるまでしか続かないんだろうなぁ、いいものを読ませていただきましたほんとに😭😭😭
〜最終幕〜ー開演、『親友』ー
「『飽きるまでは』…?」
「それについては、今からご説明しましょう。」
ここからは、『台本』上で言うならば『第二稿』に入る。まずは彼と合流しよう。新たな『舞台』へ向かわなくては。
「とりあえず、僕についてきてください。ご案内したい場所があるんです。」
彼にはもう拒否する気力すら残っていないらしく、大人しくついてきてくれた。
そしてもう何回開いたかもわからない、少し重い扉を開く。
「こちらです。」
中には、やはりグレーのパーカーを着た若井がいた。若井は藤澤の方を向いて言った。
「こんばんは。…いや、僕とははじめましてですか。藤澤さん。」
藤澤は度肝を抜かれたようだった。だが決して若井から目を離すことはなかった。
「実はこのドラマ、本当は元貴が…大森があなたに全てを打ち明けて終わるはずだったんです。あなたをここへ招くなんていうシナリオはなかった。」
若井が続ける。俺はそれを黙って見守る。
「…ではなぜこのような真似を?」
藤澤が若井に問いを投げかけた。でも若井はそれに応じず、俺に目配せをした。俺は若井しか気づかない程度に小さく頷き、
「それについては僕から。」
そう言って俺の方に藤澤の注目を向けさせる。若井は部屋の奥の暗闇に消えていった。
「ですがその前に、先ほどの問いにお答えしましょう。藤澤さん、あなたは、僕の『親友』、そして『飽きるまでは』という言葉の意味をいまいち掴みきれていないようですね。」
「僕と若井は『親友』です。でもそれは、この関係にあることで、互いが自分に利益がある、つまりは楽しい、面白いと納得しているから。ここであの言葉に繋がります。」
藤澤は少し閃いたような顔をした。
「そうです。この関係は『飽きるまで』しか続かない。それが僕達のポリシー。」
「そして、このポリシーに同意して頂けるのであれば、あなたに一つ…お願いが。」
俺がそこまで言い終えると、若井が一脚の椅子を持って戻ってきた。そしてそれを、デスクの前に並べてある二脚の椅子の隣に並べる。今このとき並んでいる椅子の数は、『三脚』。
俺は若井にありがとう、と言った後、その3つ目の椅子を引きながら言った。
「藤澤さん。あなたは今まで出会った中で最も優秀な『役者』だった。そんなあなたの働きを見て、若井が言ったんです。『彼、書けそう』、と。僕もそう思います。あなたなら書ける。こちら側…『舞台裏』に来て頂けませんか。」
彼はしばらくの間、どこまでも暗闇が続くかのような目でその椅子の座面を眺めた。その目を見た瞬間、俺は彼が自分達と同じところに来たことを確信した。
彼は何かを決意したような表情を浮かべたあと、静かに左腕の腕章を外した。もうこんなものは要らない、というばかりに。
彼はおもむろに歩を進める。
そして、___そっとその椅子に腰掛けた。彼は、とてもリラックスしたような、安らかな顔をしていた。
「ありがとうございます。」
俺は2人の顔を見て言った。
「今日からは、3人で『親友』ですね。」
―『舞台裏の親友』、併せて『舞台上の記者』。これにて終幕。