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「待ってよ!!!!」


数メートル先に、空白の、幽霊のような君が私から離れていく。靴も靴下ももう水の中で、スカートのすぐ下まで海が口を開けていた




「…っねえ!!無視しないでよ!まだ私と話そうよ!!」





大きな波でゆらと私達は動き、自然に対抗しようと目を薄め力を強くする。



待って、行かないで、戻って、嫌だ、無理、中身の無い吹き出しに、軽薄な、親に置いていかれる子供みたいな言葉を埋め尽くす。



もう腰まで濡れている、彼女の揺らいで見えない白い肌を掴み、彼女の腕は止まって体が少し横を向いた。





「駄目、だよ…………もう……戻ろ?」



「いやだよ…私は…まだ日常を、………君と、一緒にいたいよ…君がいないのは…耐えられない……」





暫くの沈黙。綺麗な夜の明かり、薄く厚い雲、水平線、私のスカート、波、左手の横、私の顔、砂利の感覚、大きな音。視界の全てが情報として入ってくる。一度きりの今、あぁ、私は、生を実感している。

前を向き目を見開いている君は、見えない口を開いた








「じゃあ……」






 




「…なんで一緒に来てくれないの…」











2人は同じ事を考えていた。




それは裏切ってしまった、

嘘つきの私。

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