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#シグマ
第二話ですね。
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「お茶でも飲みませんか?依頼人さんから良いお菓子をお礼に頂いたんですわ」
そう切り出して来たのは、ナオミだった。そして、ナオミの言葉に全員が賛成し、ナオミがお茶とお菓子を用意しに給湯室に向かう、その後を追うようにして、谷崎が手伝いに行った。
暫くすると、谷崎がお茶を持ち、ナオミがお菓子を持って戻ってきた。
「お茶とお菓子、用意出来ましたわ!」
そうナオミが全員に声をかけると、皆んながぞろぞろと集まってくる。ナオミちゃんは社長も呼んでいたのか、いつのまにかソファでくつろいでいる。
皆んながそれぞれの席で食べ始めると、ふと、思い出したかのように賢治君が口を開く。
「あ!そういえばなんですが、今日僕がお仕事をしていた時、深く帽子を被っていたお兄さんに社長宛のお手紙を頂いたんです!」どうぞ、と言って手紙を福沢に手渡す。
「手紙か…」
福沢は封を開ける前に暫し観察する。
手紙は真っ黒で何処か不気味な雰囲気を纏っていた。蝋で丁寧に封をしてあり、蝋は林檎に蛇、十字架のようなのマークのような物が描かれていた。
裏を見てみると、社長宛と書いてあった。その字は、とても達筆だが、何処か違和感を持たせる字だった。そして、裏には端の方に一輪の曼珠沙華が鮮血を浴びたように真っ赤に咲き誇っていた。
まるで、闇の中で一人孤独に打ちひしがれるように、何かを諦めたかのように。
「…差出人の名前は無しか」
福沢は封を開けて、手紙を取り出す。綺麗に半分で折り畳まれた手紙は以下のように書かれていた。
『拝啓、武装探偵社・社長の福沢諭吉殿
直接出向けない代わりに、恐れながら、お手紙を書かせて頂きました。
前置きはここ迄にして、突然ですが本題へと入らせて頂きます。
僭越ながら、6月15日にヨコハマの組織三つに襲撃をさせて頂きます。武装探偵社及び、ポートマフィアの森鴎外殿にも同文のお手紙を送らせて頂きました。
それでは、またいつか、このようなお手紙をお送りさせて頂くこともありましょうが、以後、お見知り置きを…』
文面は先程の述べた通り、達筆だが、違和感を持たせる字であった。最後には、恐らく差出人の名前が書かれていたようだが、インクが掠れてしまって読めなかった。
「なんと書かれていたんですか…?」
福沢のいつもより強くなった眼力に少し怯んだように国木田が問いかける。
「武装探偵社、そしてポートマフィアに襲撃を行うそうだ。」
「なっ誰が…」
「…ふーん」
少しざわざわと戸惑ったような話し声や個性溢れる言葉などが聞こえるが、流石は武装探偵社、直ぐに社長の指示を待つように静かになる。
「乱歩、差出人はわかるか?」
「…なぁ太宰、お前、今日はずっと此処にいたよな?」
乱歩は暫しそれを観察しながら少し戸惑うように、口を開く。
「えぇ…乱歩さんや敦君と一緒に探偵社に居ましたけど…」
太宰は乱歩の質問の意図が分からず…否、分かりはするのだ、でも乱歩がそうじゃないと言い切らない事に違和感を覚える。
国木田や与謝野、鏡花、社長もなんとなく察したのかチラリと太宰をみる。
「…ごめん、社長…差出人はわからない…でも、この差出人の相手が魔人フョードルの時ぐらい厄介なのは間違いないよ」
暫く考え込んだ末に、また口を開くが、今度は少し声のトーンが下がっている。乱歩の言葉に、全員が身体を硬直させる。
「魔人、フョードル…」
「こりゃまた大変な事になりそうだねェ…」
全員は顔を強張らせたり、嫌そうな顔をしたりと、それぞれだったが、緊張しているような様子が見られた。
「でっでも、今回は手紙にもあった通り、ポートマフィアも襲われるはず…だから今回は最初から協力が見込めるのでは…?」
谷崎が重くなってしまった空気に耐えきれず口を開き探偵社員達に問いかけるように言う。
「…どうかな、ポートマフィアは魔人の一件でなかなかの損害を受けた…それでもポートマフィアとしては魔人ただ一人に手こずってしまったことでかなりメンツを潰されている…そこから考えると、彼等は僕達と協力すると、また唯でさえ潰れてしまったメンツはもうないのと同じだろうね。」
乱歩は息を一息吸ってまだ続ける。
「それに、僕達としても不利益はあるよ。武装探偵社を陥れたい奴なんていくらでも居る。まぁ僕が居るからその可能性は低いけど、ポートマフィアとの協力が公に出てしまったら、また探偵社が黒幕なんて事も言われる可能性だったある。」
乱歩のこの言葉に全員が無言になり目を見合わせる。
「…乱歩さん、いくつか質問なんですが」
太宰が珍しく重々しく口を開き、乱歩に問いかける。乱歩は「なぁに?」と軽い返事を返しながら太宰の方へと目線を向ける。
「そもそも、相手の目的はなんだと思います?」そのまま太宰は続ける。
「探偵社やポートマフィアを潰したかったのなら、魔人騒動に乗じてそう動けばいい、私やフョードル同等の頭脳を持っていたのなら不可能な話ではなかったでしょうし、それをフョードルが利用し、利用されて私達が負けていた可能性だってあるんです。」
太宰は終始乱歩を見つめたまま言葉を続ける。乱歩は目を逸らさず観察するように太宰を見ていた。
「そうだね、実際僕もそれについては謎だよ…何故今現れてこんな手紙を送って来たのかがね…まぁでも、今は次の手紙まちだね」
乱歩の言葉に全員がコクリと頷く。
すると突然探偵社の出入り口のドアが壁にぶつかり取っ手が壁に少しめり込んでしまうほどの勢いで開いた。
探偵社の全員(乱歩以外)が勢いよく其方に振り向くと、とても苛ついた様子のポートマフィア幹部ー中原中也ーがいた。
「おい…太宰、どういう事だ?」
そう口を開くと太宰に詰め寄ろうとずんずんと近づいてくる。その間を敦が遮るように躍り出る。
「ちょっちょっと待って下さい中也さん!」
「そこをどけ」
敦に目を向けず、その眼はただ真っ直ぐに太宰を睨みつけている。
「なぁに、中也…遂に頭まで蛞蝓になっちゃった?」
「うるせぇ…今はテメェの軽口聞いてる暇はねぇ…」
そういうと、中原はぺらっと数枚の紙を取り出し太宰に見せる。
「これ、テメェの筆跡だろ。それに、ここの文字は昔…双黒時代に使ってたコードじゃねぇか!!」
「…」
太宰はその紙をまじまじと見つめる。確かに太宰も憶えのあるコードが書かれていたし、限りなく自分に近い筆跡だった。ただそれには違和感があった。 無理に太宰の筆跡に似せたと言うより、手に万年筆などを握るのがやっとなような字…
両手がギリギリ動く程度に怪我する事などポートマフィア時代にはしょっちゅうだったし、その時の字を中原が知っている事にもあまり不自然な話ではない。
問題なのはコードの方だ、下手すれば森でさえその意味を知らないコードばかり…それなのになぜ、その差出人が書けたのか…
コードの意味は単純なものばかりだが、使ったことのないような物凄く下らない内容のものも紛れている、それにコードを使った相手は全員もう既にこの世には居ないだろう、と太宰は考える。
「…チッ、もう良いお前はこれだけ答えろ…お前はこの件、どう見ているのかを」
深呼吸するように一呼吸おいてから太宰に向ける鋭い眼を少しの優しさのような色を滲ませ語りかける。
「首領もお前は疑ってねぇ…不可解な点も多い、それにお前がこれをする理由もねぇだろうし、もしお前だったとしても目的もわからねぇ段階じゃ協定もあるし、手出ししねぇよ」
「!…私の狗の癖に、随分と生意気な事を言うね」
その言葉にうるせぇと言葉が返ってくるが、お互いの言葉には明らかな信頼がある事が読み取れた。
「…私はこの件についてまだ調べたいことが多すぎる…今の段階ではなんとも言えないけれど、乱歩さんの言った通りフョードルぐらい厄介な相手なのは間違いないよ」
「…やっぱりか、おそらくだが、首領そう見ているらしい」
「だろうね」そう太宰が中原の言葉に同意するようにいう。それから続けて「でも中也、君、探偵社でこんなこと言っちゃってても良いのかい?」君が処刑される所が見れるのかな?と冷やかすように太宰がニタニタと笑う。
「な訳ねぇだろ、首領にもある程度の情報共有とかは許可されてる」中原は睨みを効かせながらも、真剣そうな面持ちで太宰を見つめる。
「あっあの中也さん!」
珍しいと言える二人のまともな会話を遮ったのは敦だった。だが、足はガクガクと産まれたての子鹿のように震えており、指先一つでも触れたら地面にへたり込んだしましそうだ。
「んだよ、」中原がそう返すと敦は深呼吸をして中原の名前を再度呼ぶ。
「中也さん、ポートマフィアに送られたものとこっちに送られて来た手紙は殆ど同文だと書かれて居たんですが、本当に同文なんですか?」
相手が何処までその手紙に真実を混ぜているのか気になったのだろう、敦の言葉に鏡花や谷崎もこくこくと頷いている。
「ほらよ、中に入ってんのはこっちに送られて来た手紙の写真と、手紙の入っていた封筒の写真だ」
中原が何処からか出した薄茶色のB5サイズより少し大きいぐらいの封筒を取り出して、敦に渡す。
「…黒い封筒じゃないんですね…」
敦が中から取り出した写真をみて、口からその言葉が零れ落ちる。
写真に写っている封筒は以下の通りだ。
形などは、探偵社に届いた手紙と同じだが、花や色合いが少し違っていた。封筒は真っ白だが右下の方が暗くなっていて、探偵社に届いた手紙のように花が咲き誇っていた。 だが、探偵社に届いた手紙の花とは違い、純白を纏ったシレネの花が咲いていた。
だが、シレネの花は白い封筒に異様な存在感を放っており、一目見たら見入ってしまいそうな程、美しかった。
手紙の内容が写っている写真は(先程述べたとおり)やっぱり達筆だが違和感のある字で、ポートマフィアと探偵社の襲撃すると言う予告状が書かれていた。
「一体、誰が…」
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一旦切ります〜!