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夕方。ちょっと買い出しに行こうってことで、るかと一緒に外へ出た。
空は曇ってたけど、別に雨の予報なんて出てなかった。
「コンビニだけでいい?」
「うん。あー、あとアイス買う」
「また太るぞ」
「うるさい」
そんな軽いやり取りをして、
道路を渡ったところで、ポツ、ポツ、と冷たいものが顔に落ちた。
(……ん?)
そう思った瞬間、
バケツをひっくり返したみたいな夕立が降り始めた。
「は!?何これ!」
るかが叫ぶ。
アイスどころじゃない。
「やべ、走れ!」
反射的に、俺はるかの手首を掴んで走った。
バチバチと肌に当たる冷たい雨。
シャツも髪も一瞬でびしょ濡れになった。
るかは無言でついてきたけど、
小さく笑ってるのがわかった。
(こんな状況で笑うなよ)
思いながら、
すぐそばにある軒下へと駆け込んだ。
⸻
「……最悪」
肩で息をしながら、るかが呟いた。
「でもちょっと楽しかったでしょ」
「楽しくねーし」
そう言いながら、
髪をくしゃくしゃとタオル代わりにしてる姿は、
いつもの尖った雰囲気より、ずっと子どもみたいだった。
「てかさ」
「ん?」
「いきなり手、掴むとかキモい」
「助けただけだっつの」
「はいはい、ありがとー」
るかは顔をそむけて、
雨が止むのをじっと待った。
俺も何も言わずに、
その横顔をぼんやりと見ていた。
なんか、
本当に“雨のせい”だったんだろうか。
そんなことを考えながら。