テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
115
589
ころさな
1,318
38
番外編16 すたーと!
リクエストありがとうございます!
すちの過眠症が発覚し、六奏家が「24時間過保護体制」になってから数ヶ月。
今日の六奏家は、いつもと違う異様な緊張感に包まれていた。
「……おい、もう14時間経つぞ。いくらなんでも寝すぎだろ……」
リビングのソファ。
いるまが血走った目で時計を見上げ、ガタガタと貧乏揺すりをしている。
その中心には、ふかふかの毛布に包まれ、ピクリとも動かずに眠り続けるすちの姿があった。
「すちくん、おーきーて? こさめとお散歩行く約束したじゃん……っ」
こさめがすちの手を握り、何度も揺さぶる。
いつもなら「んぅ……」と声を漏らすはずのすちは、完全に意識を深い闇の底に沈めていて、全く反応しない。
「スープ、温め直したの、もう3回目……。すち、飯食わないと死んじゃうよ……?」
なつがトレイを持つ手をガタガタと震わせている。
キッチンには、すちのために作った料理が何皿も冷え切ったまま並んでいた。
「……すちくん。お目目開けて? ねぇ、お願いだから……」
みことがすちの頬に触れる。その肌は驚くほど冷たく、呼吸も微かだ。
その瞬間、5人の脳裏に、あの最悪な「日の光景」がフラッシュバックした。
『捨てないで、嫌わないで……っ!』
あの時、自分たちが追い詰めたせいで、すちはボロボロになるまで耐えていた。
もしかして、また俺たちに言えないだけで、体調がめちゃくちゃ悪化しているんじゃないか。このまま二度と、目を覚まさないんじゃないか――。
「……すち、すち……っ! 起きろ!!」
ついにらんが耐えかねて、すちの身体をがっしりと抱きしめ、叫んだ。
いつも冷静な長男の瞳から、大粒の涙がポロポロと零れ落ち、すちの頬を濡らす。
「ごめん、俺らがまた何か無理させたか!? 頼むから目を開けてくれ……! お前がいない世界なんて、俺ら生きていけねぇよ……っ!」
「すち!!」 「起きてよ!!」
リビングは、お兄ちゃんたちの悲痛な叫びとパニックで完全に崩壊寸前だった。
いるまが震える手で救急車を呼ぼうとスマホを取り出した、その時。
「……ん、ぅ……。……んん……?」
らんの涙が顔に当たったからか、すちの長い睫毛がピクリと動いた。
ゆっくりと、本当にゆっくりと、琥珀色の瞳が兄たちを捉える。
「……みんな……? なんで、泣いて……?」
「「「「「すち!!!!!」」」」」
「ひゃいっ!?」
次の瞬間、5人がかりの全力の抱擁がすちに襲いかかった。
らんが、いるまが、なつが、みことが、こさめが、すちの身体を壊れ物のように、でも絶対に離さないという執念でギチギチに抱きしめる。
「うわあああ! よかったぁぁぁ!!」
こさめが大号泣し、
なつも「もう心配かけんじゃねぇよぉ……っ」と涙を拭っている。
「え、え、あの……おれ、ただいつもより多く寝ちゃっただけで……」
すちがパニックになりながら弁明するが、兄たちの目は全く笑っていなかった。
「……すち。お前が起きない間、俺らがどれだけ絶望したか分かってねーだろ」
いるまがドスの効いた(でも泣きそうな)声で呟く。
「決定。明日からすちのベッドの横に、心拍数と呼吸を24時間監視するモニターつけるから」(らん)
「俺、すちくんが寝てる間、1分おきに息してるか確認するね💕」(みこと)
「えぇっ!? それじゃおれ、寝るのも監視されるの!?」
困惑して顔を青くするすちだったが、お兄ちゃんたちは「二度とこんな思いはしたくない」と、さらに狂気的な過保護包囲網を固めるのだった。
リクエストありがとうございました!
皆さんリクエストの内容のセンスよすぎてかくのめっちゃ楽しいです💕
次回♥️300💬1
コメント
9件
リクエストとかしてもいいんですか… ちょっと考えときます🤔💭
ありがと!めちゃ面白かったぁ!
ああもう、今回も心臓に悪かったわ……! すちが全然起きなくて、お兄ちゃんたちがパニックになってるところ、こっちまで「やばいやばい!」って焦っちゃったよ。でもただの寝すぎでホッとしたら、今度は「監視体制強化」の宣告(笑) みことの1分おき確認は流石に笑ったけど、それだけ愛されてるってことだよな。番外編も安定に面白かった! リクエスト企画、ほんと楽しそうだね✨