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ち び
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はやちゃんは、僕を安心させるようないつもの優しい顔に戻って、再び語り始める。
『お前はな、本当にすごいと思う。色んな辛いことがあっても、諦めずに前向きに頑張ってる。何度心が折れそうになっても、そのたびにちゃんと立ち上がるじゃん!』
「それは……それは、はやちゃんがいてくれたからだよ!!」
『俺はなんもしてないよ。あそこから這い上がって、乗り越えようと努力したのは柔太朗だろ?……すごいよ、まじで』
「……急にそんな真面目な顔しないでよ」
嬉しさと照れくささが混ざり合って、僕は真っ赤になった顔のまま俯くことしかできなかった。
『おい? 勝手に終わらそうとすんなよ? 俺のターン、まだ終わりじゃねぇからな? まだまだあるからな!! お前はな、シンプルに圧倒的に顔が良い! 俺、これまでの人生でこんな綺麗な顔見たことねぇからな?』
「い、いや……はやちゃんには敵わないって!!」
『おぉー! ふはっ まあ、お前も俺の顔、好きだもんな? へへっ』
そう。
この人には何度も口にしているが、僕ははやちゃんの顔が昔からすごく好きだ。
こんなに男らしくて整っていて格好いい人、なかなかいない。
それに中身まで、誰よりも男気があって格好いいのだから。
「うん。好きだよ! めっちゃかっこいいもん」
いつもの事だから、お礼を言うような感覚で当たり前のようにそう答える。
はやちゃんは僕の迷いのない返答に、本当に嬉しそうに目を細めて笑っている。
格好いい男の人の、最高に魅力的な笑い方。
この顔も、すごく好きだった。
『ふはっ! まぁ簡単に言うと俺さ……お前の顔がめちゃくちゃタイプなのよ!!』
「はぇ?」
『ふははっ! それにお前、普段はツンツンしてるくせに、たまにめちゃくちゃかわいいんだよなぁ』
「ねぇ、ちょっと! 馬鹿にしてるでしょ?」
出た。
この人はいつもこうやって、僕のことをからかって楽しむんだ。
『いやまじで!! 本当にかわいい! ……なんていうか、愛おしい……? …、あー……いや、なんかさ、一緒にいたらそれだけでめちゃくちゃ癒されるんだわ!』
「え、それってペット的な扱い!?」
『いや、そういうんじゃなくて…。えーっと、……あのさ、柔太朗。この際だから、ずっと言いたかったこと言わせてもらっても良いか?』
「え……、なに? 急にこわいんだけど、」
『いや……俺さ、お前のこと、好きなんだよね。もうずっと前から、お前があの居酒屋で働いてた時から、ずっと、』
「へ? …、……あ、あぁ!! そういうね? うん、俺もはやちゃんのこと大好き!」
びっくりした。
一瞬だけ、本当にそういう告白をされたのかと思って心臓が跳ね上がってしまった。
そういう友達みたいな「好き」の話か。勘違いするところだった、危ない、危ない。
『いや……たぶん、お前は分かってない』
「……え?」
自分の勘違いを笑い飛ばそうとした僕の言葉を、はやちゃんは静かに遮った。
今まで見たこともないくらいの真面目な顔で、僕の目をじっと見つめている。
あれ、なんか、おかしい。
部屋の空気が、急激に張り詰めていくのが分かった。
『……お前さ。舜太と…まだ付き合ったわけじゃないんだよな……?』
「あ……、いや…うん…っ」
喉の奥がキュッと閉まる。
これって……。
今、はやちゃんが僕に言っている「好き」って……まさか、そういう事なのだろうか。
僕は急に部屋を満たしたその雰囲気に耐えられなくなって、逃げるようにして視線を床へと落とし、俯いた。
その瞬間、床に落ちていた僕の視線が、ふわりと持ち上げられる。
はやちゃんの大きな、少し骨張った手のひらが、僕の顎をくいっと上へと向けたのだ。
逃げることを許されないまま、ふたりの視線が至近距離で真っ直ぐにぶつかり合う。
どうしよう……。
頭の中がパニックになって、言葉が出ない。
『……俺、まだ、……、間に合う……?』
「……え……、……っ」
『好きなんだよ……。愛してるんだよ……、柔太朗の事……。お兄ちゃんじゃなくて、一人の男として、お前の全部が欲しいんだ……っ』
こんなに苦しそうで、必死で、一人の男としての欲望を剥き出しにした顔、今まで何年も一緒にいても、ただの一度だって見たことがなかった。
僕をずっと暗闇から救い続けてくれたヒーローの真剣な告白に、僕の心臓は破裂しそうなほどにうるさく音を立てていた。
to be continued……
コメント
2件
いつも お話が更新されるのを 楽しみに 読ませていただいております。私は❤️🤍も🩷🤍も好きなので 切ないです😭 今後の展開 どうなるのかなぁ🥺 ますます 楽しみにしております。