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相手が白旗を上げたようで撤退命令が出た
その辺で戦場は急に静かになった
さっきまで鳴り続けていた
爆音も嘘みたいに消えている
残ったのは壊れた地面と 焦げた空気、
戻ってこなかった者たちの
空白だけだった
同期の名前を一人ずつ呼んでみた
何処にも返事はない
その言葉は宙に舞って消えた
通信は繋がらず
生存確認は不明のまま止まっている
撤退後の説明で誰も先の話をしなかった
戻れる場所があるのか
ここからどう続くのか
そのどれもが確認されないまま流されていく
隊長はどうなったのかとソワソワしていたら
医務室の中で隊長は眠ったままらしい
致命傷は免れた、と
幹部様が報告してくださった
安堵、
それ以上の言葉はなかった
能力者で、強くて、
誰よりも前に立っていた人間が
今は包帯に覆われ何も言わず横たわっている
無能力者の自分と何が違うのか
そう考えて答えが出る前に思考をやめた
違いは最初から分かっている
それでも守れなかった結果は同じだった
上層部は戦争の総括を始める
犠牲は想定内
行方不明者は今後調査予定
記録にはこれからの話が書かれていなかった
明日以降の欄は最初から空白だった
誰も無能力者が戦場にいた事実には触れない
失敗でも功績でもない
ただ記録に残らない存在として処理される
それでいいと少し思った
期待されないなら
これ以上、失う未来もないだろう