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ストレートに愛を伝えたい響だけれど.....🤔 琴音ちゃん、なかなか手強い🤭 天然パワー恐るべし😁w
響、真っ向勝負でいく⁉️
「…でも良かったぁ…また会えて!」
元気で良かった…という意味だったんだけど…響は、その完璧な顔面を優しく崩して言う。
「…俺は、良かったどころじゃない」
見つめる目が、妙に熱い気がするのは気のせいだよね?
走り出した車の乗り心地にキャーキャー言っている間に、どうやら目的地に着いたよう。
響に言われて車を降りると、そこはそびえ立つ大きなマンション…。
専用なのか…駐車場内にすでにエレベーターが待っている…。
停まっている車は、3台。
「俺の車だけ残して、あとは持っていって」
響にそう言われ、車のドアを開けてくれたスーツ姿の男性が1台に乗り込み、駐車場を出ていった。
…と、いうことは、ここにある3台は全部響の…?
唖然とする私の背中をそっと押しながら、響は私をエレベーターに乗せた。
こんなに音もなく、スーッと上昇していくエレベーターなんて初めてかも…。
「や…ねぇ…響…」
耳を押さえて思わず見上げる。
「…なんだよ。エロいな」
「…っ?!」
高いところに上がっていくと…耳がツーンと詰まる感じ。
昔からそんな感覚が苦手だった。
何かあればすぐ響に訴えていたあの頃と同じ感覚で…向かい合う響を見上げる。
大きな手が私の両耳を塞いで、指先がくすぐるように耳穴に挿し込まれた。
「…ちょっ!なんか…」
首をかしげて小刻みに揺れる指先に抵抗しながら、その手を押さえた。
「…耳弱そ」
楽しそうな響…
久々に会って、こういういじり方…やめて?
不意に開いたエレベーター。
その先に広がる光景に驚いて一歩前に踏み出すと…私の耳は無事解放された。
…………
「…うわ…何これ…」
一面の大きな窓…暗くなってきた外の風景が見えて、色とりどりの光がゆらゆら揺れているのがわかる。
「東京中が見えるんじゃないの?」
部屋をぐるりと囲む大きな窓に近寄って、夢中でその景色に見とれていたら、部屋の明かりが落とされたなんて気づかなかった。
そのうち、響が不自然なほど近寄って来る。
「お前を今日ここに連れてきたのは、特別な話があるからだ」
スルッと私の背後に回った響。
昔は響の顎の下に私の頭がつくくらいだったけど、今はどのくらいだろう。
「ねぇねぇ響…?」
振り向こうとした私を制するように…
あの頃は流石になかった感覚が体に伝わる。
後ろからたくましい腕が肩とウエストに絡みついて、こめかみのあたりに柔らかい感触…。
「琴音…会いたかった…」
「…私も。あ、あの…」
「…ん?」
低音が甘い…。
さすがの私もドキドキするけど…相手はあの響。どうせ『なんちゃって?』とか言うに決まってる。
「部屋の明かり、消してくれてありがと。おかげで夜景がよく見えるよ…」
「…はぁ?」
ギュウっと抱きしめていた腕の力がふと緩んだ。
その隙をついてフッと腕から逃れ、広い部屋を見渡して、足を前に出そうとした時
「…危なっ」
暗がりで見えなかった。足元に置物があったみたい。
とっさに前のめりになる私を抱きとめた響。
びっくりした…と言いながら、腕の中で見上げると、響の瞳が暗くてもわかるほど揺れている。
「あの、ありがと…」
声をかけると…腕の力が緩み、2人の間に隙間が生まれた。
「…あ〜あ。やっぱお前には効かねえか」
響はそう言いながら、指をパチンと鳴らし、ソファにもたれるように腰掛けた。
ふわぁっと部屋が明るくなって、驚いて響の腕をバンバン叩く。
「なんか…明るくなった?!パチンって指鳴らしたから?ねぇねぇすごいねぇ!」
響は、若干呆れたみたいに言う。
「うるせぇうるせぇ。この部屋には最新のハイテク機能が備わってるってだけだ…」
「そうなんだ。やっぱ響んちってスゴイんだね?」
あたりをキョロキョロ見渡す私にさらに吐かれる深いため息…。
「…私には効かないって何が?」
「俺が身につけた男の色気が、お前には通用しないってこと」
「…っ!?」
…………
響と初めて会ったのは、私が6歳。響が11歳の時。
春休みや夏休みは、よく近くの公園で弟と遊んでて、そこに学校の友達や幼なじみがまざってきた。
響も近所に住んでる男の子だったけど、小学校は一緒じゃなかったし、いつの間にか変わった色の制服を着るようになってた。
『…お前ら、また川に行く気だろ』
夏休みはよく少し先に流れている川に行くことが多くて、響はまるで大人の付き添いみたいについてきてくれた。
だいたい私と手を繋いで川に入ってくれて…もう一つの手で私の弟の手を握ってくれたっけ…。
…離れて座ったのに響の手に捕まった。