テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#溺愛
88
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私はアンナに「下がってなさい」と目で合図を送った。彼女が弾かれたように部屋を出た瞬間、彼は獲物を追い詰めるような足取りで歩み寄り、私を逃げ場のない壁際へと追い込んだ。
背中に当たる壁の冷たさと、目の前の彼の熱量。私は視線を泳がせながら、言い訳をした。
「あ、あれは比喩で……」
「ふん、比喩か。……俺は貴様以外の飼い主など知らぬ忠犬だろうな」
鼻先が触れそうな距離だった。彼の瞳には、仄暗い炎が揺らめている。
「だが、忠犬が必ずしも『聞き分けが良い』と思うなよ。一度噛みついた獲物は、死んでも離さないからな」
耳元にかかる、熱い吐息。
(ちょ……! なんなのこの独占欲!?。最後まで、飼い主としての責任を取れといわんばかりじゃない。聖女が好きだったんじゃないの!?)