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ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

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ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

110 - page.93 閑話 冥探偵事件簿:英国連続猟奇殺人事件 決戦編:対決!ジャック・ザ・リッパー

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2024年04月05日

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霧の都と謳われるロンドンの路地裏で一人の男が千鳥足でふら付きながら歩く。

その傍らには二人の絶世の美女が、更には背中にも一人負ぶさり、


「いやぁ~、今日は大量大量。お兄さん明日の朝まで頑張っちゃうぞ~」


そんな事をホザキナガラ隣の美女の胸を揉み、時には背負った女の尻を揉む。


「いやぁん(ハート)そういうのは部屋に着いてから、ネ?」


「も、もしどうしてもと言うのでしたらわ、私は此処でも……キャッ」


見る者が見れば血涙物の光景を撒き散らしながら歩く男の正体は言わずと知れた小野麗尾 守である。


両隣には事件被害者の娼婦仲間がこれでもかとコーディネイトした黄泉大毘売命と背中に負ぶさられているのは、

ロンドンNo.1コールガールである。


正天已死

殴壁当立

怨敵倫敦在

天下大吉


何処かから檄文が発せられそうな光景ではあるが、無論これには訳がある。


そう、あれは先日のボス部屋の出来事じゃった……


意を決して踏み込んだ俺達が見た物は、ショートカットと言うには長めのセミロング?の銀髪の看護婦が負傷者を甲斐甲斐しく治療している場面であった。


「何をしに来られたのですか?」


「彼らを帰るべき場所に帰す為に」


「帰るべき場所とは戦場ですか?」


「いいや、彼らの帰りを待つ人達がいる場所に」


「解りました。迎えに来られたのは何名でしょうか?」


「こちらのリストに乗っている全員を」


メモを渡すと、彼女はホッとした様子で、


「ああ、良かった。彼らは帰れるのですね……」


と呟いた。


思わず、


「貴女にも帰る所はあるのでは?」


と聞くと、彼女は寂しげに、


「いいえ、私にはもう帰れる場所はありません。家は無くなっていました。家族ももう生きてはいないでしょうし、何より私は大切な誓いを破りました」






この手は命を救うためではなく、命を奪うために血に塗れたのです。




愚かなシャクヤ

哀れなシャクヤ

惨めなシャクヤ


私は人を救うために学んだ知識で人を殺めたのです。


ただ、ただ怒り、憎み、許せずに憎悪の赴くままに。


(嘘つき男の騙る愛を信じた)愚かなシャクヤ

(愛を信じて地獄に赴く)哀れなシャクヤ

(地獄の底で男の裏切りを知った)惨めなシャクヤ


約束は踏み躙られ愛を信じて培った天使の翼は暗き憎悪と血に塗れ、

救いの教えは悪魔の知恵と化し、

かくて白衣の天使は殺戮の天使に堕ち果てた……


いつの間にか、白衣はボロ布に変わり、手にはカルテとペンの代わりに見覚えのあるナイフが握られ、

不審者を見ていた目つきは、殺気の籠る血走った物に変貌を遂げていた。


「オマエにもそこの娘にも忌まわしき罪の穢れが無い。患者は奥にいる。ハヤクツレテイケ」


何かしらの条件付きで襲ってくる……のか?


兎に角今はまだ襲われないなら患者ファーストである。警戒しながらスタコラサッサと運びだし、

まだ襲ってこないのを見届けると、最後に彼女に話しかける。


「これで用は済んだから失礼するけど、最後に聞いておきたいんだけど、

君の名前はシャクヤ・シックスティーンで合っているのかな?」


「ソレガドウシタ」


「俺の名前はマモル・オノレオだ。シャクヤ、君が起こした事件もこれから起こす事件も冥探偵とその助手である俺が必ず解決して見せる。約束だ」


要救助者を連れて、内部で呼び出した召喚モンスター達を戻してゲートから退避して数日。

内部の様子を報告したり、

アビーにシャクヤ・シックスティーンと言う”人間”の調査の依頼を出したりして、

ジャック・ザ・リッパーの討伐を計画して……


「探偵と言えば変装したりもするわよね!」


と言う我らが冥探偵の鶴の一声で急遽囮作戦が立案されたりで……

冒頭の茶番に至る訳である。

誰だ、役得とか言うのは。

背負っているコールガールは同業が殺された事の義憤と協力する事で知名度の向上を見込んでいる若干の打算ありきで協力してくれている”善意の”協力者だし、志子ちゃんと淡姫ちゃんをこんな風に扱いたくなんて無かったんだぞ!!!


嗚呼~掌から伝わってくる温もりに癒されるんじゃ~(尚、やりすぎると後でお持ち帰りされてイヤらしされる模様


そんな馬鹿な事を考えていると周囲が霧に包まれて、エインセルから連絡が。


「ゴシュジンサマ!?鼻の下伸ばしてる場合じゃないわよ!!来た!!!」


フッ、来たか。


隣の二人を見ると、二人共頷いてくる。察知した出現位置をエインセル経由で”全員”に伝えると……


「賊共、控えおろう!! 火付盗賊改方、長谷川平蔵の出役である!!!」


サスマタ構えた武士集団を従えた鬼平殿の登場に続き、

直後、ダダダダ~ン、ダッダッダッダ~ンと言う効果音が鳴り響き、どこか聞き覚えのあるBGMと共に白馬に跨った第8代徳川家将軍様が現場に乗り込んでくる。後を追う様にホンダムを引き連れた初代を筆頭に歴代将軍が近侍衆を引き連れて駆け込んで来るのは俺の眼には見えない。

この様な場所に上様達が居(お)られるはずがないだろう、いい加減にしろ!!!

一息遅れてロンドン市警を引き連れたチョット・レスト・レイド警部が、


「スコットランドヤードだ!ジャック・ザ・リッパー改めシャクヤ・シックスティーン騎士爵家令嬢!ロンドン市内における連続殺人の容疑並びに殺人未遂の現行犯で逮捕する!!!」


この古今東西ワヨウセッチュー団体をE.D.F.が遠巻きに包囲すると言えば現場のカオス具合が少しは伝わるだろうか。


何でこんな真似をしたかって?

ジャック・ザ・リッパーが生み出す霧の性質が「戦場の霧」の性質を持つからと判明したからだよ!!

見通す事の出来ない霧・軍事機器が抜群の効果を発揮する環境……

訳の分からない環境にカオスな集団をぶつけて相殺を図るカオス理論がまかり通るくらいに事態の解決に切羽詰められた各方面の圧力と承認を経て実行されたトンデモ囮作戦を立案したのは誰だったのか……恐らくそれは冥探偵チームを以てしても解明できない謎である。

宙から舞い落ちるJTR(ジャック・ザ・リッパーの略)を最初に迎撃するのは俺である。

背負ったコールガールさんを警察に託して、身に着けていたコートを脱ぎ捨てる。

コートの下には上半身と両腕にはさらしを巻きつけその中に身体の動作を阻害しない様に長ドスを仕込み、その上に雪辱を晴らさんと神通力による強化を受けた防刃ベスト殿を着込み、下半身には両腕同様両脚にベルトで固定した長ドスを防具代わりに、マイサンは四文字様にY豚改・極を100%使用したアブラハム印のオリーブ油漬けハムを対価に聖別してもらったイチジクの葉を張り付けている。前後下とガードしているから

きっと……

多分……

おそらく……

大丈夫……

だと信じたい。

杖の中の鉄芯が傷ついていなかったから、恐らく武器で受ける分には貫通・無効効果は無いだろうと推測して回避重点で極力防具を減らす工夫をした結果こうなった。

……

………



パンツじゃないから恥ずかしくないモンッッッッッッッッッッッッ!!!!!


……これで負けた日には切腹物である事は否定できないが……


兎に角振り降ろされたナイフはハルバードで切り払い、着地と同時に足元を横薙ぎに振られたナイフは推測の検証を兼ねて、

右脚の長ドスで受けてみる。


ガスッ、と硬い音が響いたが、脚は無事っぽい。

そのまま脚に沿って切り上げられた所を、


「はい。捕まえた」


淡姫ちゃんがナイフを持つ手を掴む。

後は火付盗賊改方が全身をサスマタで取り押さえ、レイド警部が手錠を掛けた所を記念撮影して……

淡姫ちゃんがいつも決めセリフを宣言すると、ジャック・ザ・リッパーの身体が黒い闇色の何かに崩れ解けていき、

ダークマターっぽいソウルじみたサムシングが浮かび上がり、空のソウルカードを放り込むと、カードにサムシングがズズズズズ……と吸い込まれていき、

後にはボロ布を纏い両手にナイフを握った殺人鬼の絵柄のカードが残っていた。




シックスティーン騎士……

シックスティーン・ナイト……

後は分かるね?ミンナニハナイショダヨ?


バイオ5でゴリスが背負い、無双していたガトリングを背負わせてアーマードゴリスさせて飛んでくるナイフを背中の弾倉と弾幕でカキーンカキーンさせる案が無くも無かったのですが、

リクエストした読者の遺志を汲み、軽装備回避盾仕様守君を実装しました。(ダカラボクハワルクナイ


賢明なる読者諸氏には明白な事実ではあろうが、彼女が言う”忌まわしき罪の穢れ”は姦淫を指します。

守君が婚姻前に非童貞となっていた場合は、本話の記述以上の猛攻が行われて確実に死亡していました。

更には本格的なスタンピードの発生でイギリスも歴史上の概念と化していたでしょう……

事件解決にはあと一話、そしてシャクヤちゃんのお話はもう一話分の構想はあるんじゃよ……

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