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第44話
あれから、とりあえず家に戻った。野宿でも良かったんだけど、ソフィーが帰ってくるなら家が良かったのだ。
帰っても、違和感は消えないままだった。ご飯を済まして、お風呂にゆっくり浸かって、少し、勉強をしてから布団に入った。
次の日は、朝日が上がる前に起きた。今日は有給最終日だから少し、買い出しに行く。でも、少し遠い所になるかもしれないので、早く出ないと用事が済ませられない。
どちらかというと、用事が難しいって言った方が正しい。
少し難易度が高い。本当は三日くらいかければ見つかるかなと思ったけど、ちょっと時間をかけられない。
僕は近くの魔法が栄えている都市に向かった。やっぱり、冷たい視線が痛いけど、無視して魔道具屋に行った。
僕は『力を倍増させる魔道具』を探したけど、無かった。
やっぱり、裏からか……友達少ないから、難しいんだよな……裏でも表でも。
それから、日が暮れるまで、ソフィー探しと魔法が栄えている都市を三つくらい周ったけど無かった。
こんな珍しい魔道具なんて取り扱ってないだろうな……
僕はダメ元で今日行ける最後の街に行った。ここは、西の方にある、魔法が有名な街。ホルムにはそういう都市が小さな物も含めて何十個もある。
その中でも有名な所だ。
今は、日が暮れて、普通の家族は温かい食卓を囲んでいる時間だろう。
羨ましいな。お母さんもお父さんも行商人として働いてたのについて行ってたからな……
魔道具屋の扉を開けると温かい明かりが僕を照らした。
古い木製の棚の中に、僕が探していた『力を倍増させる魔道具』を見つけた。ストラップ型で、ポーチにぴったりだった。それも付いている魔法石の純度が高くて何十倍にもなりそう。
「おやおや、それが目当てかい?」
そう言ったのは四十代くらいの男性だった。腕は細く、帽子をかぶっている。
「はい」
「珍しいな。この前、姫様が戻ってきたんだてな。その時、魔獣が大量にこの街を襲ったんだ。魔法が使える者が多いから助かったけどな」
「大量に?」
僕が思わず口に出すと「あぁ」と頷いた。
「時空魔法があれば、物だったら直せるんだ。治癒魔法だったら、人の傷を癒せる」
使えないから困ってるんですよ……
助けられないんだから……魔力が少ないのは見てわかるんじゃないんですか……
でも、その人はそこまで言うと「だがな」と言うように顔をひしめた。
「死んでしまった人は戻れないんだ。俺も、魔法石の暴発で妻を失った。お前もそれで大切な物を傷つけないように気を付けろよ。こんな話をしてしまってすまない」
……魔法石の暴発……ソフィーは凄かったんだな……
「いえ、僕も両親を失ったので気持ちは痛いほど分かります」
「そうなのか。ここで会ったのも何かの縁だ。お代はいらない」
え? そんなの……
「いいんだ。夜も遅くなる前に帰ったほうが良いんじゃないのか? この命を繋いでくれた人に申し訳ないだろ」
命を繋いでくれた人……沢山いる。
僕は笑顔で頷いてから棚に置いていた魔道具を持った。
「ありがとうございました」
「あぁ、気をつけるんだぞ」
僕は一礼をしてからこの店を出た。
……給料は貯まりに貯まってるけど……あの十五年間は流石に給料は発生しなかったけれど、あの二年間、ほぼ使わなかったもんな……剣と、本を少しだけ買ったな……
お金が無いとでも思われたのかな?
まぁ、両親を失ったって言ったし……うん。そういうつもりではなかったんだけど……
僕はそう思いながら、冷たい風の中帰路を歩いた。
次の日。
僕が起きてから一ヶ月と三週間。
僕はいつも通りに起きて、城に向かった。久しぶりの感覚だった。
……何年ぶりなんだろう。それにしても変わらないな……
魔物の出る所は変わってしまったけれど、木や、景色はそんなに変わらない。家が建て変わったり、橋が補修されたり、新しい木が芽吹いたりしていた。
でも、それは暴風の範囲外だけで、暴風の被害地域に入るとガラリと変わった。
僕はいつも通りに北門――裏門から入った。
王城もこうやって見ると変わってしまって、絵画とかは健在だけど、ひび割れが目立つ。部屋の入れ替えも殆どされていないからなんとなくのうろ覚えだけど、分かる。
だけど、周りがあんなになっていた暴風の発生場所に近いと考えると……ホルムの建築技術はどうなってるんだ?
僕は、部屋に戻って必要な物を置いてから訓練場に向かった。
コメント
1件
**はる。だわ。** 第45話、お疲れさま! 店主とのやり取りがすごく沁みたわ…「死んでしまった人は戻れない」「命を繋いでくれた人に申し訳ない」って言葉、重いのに優しくて。主人公が両親を失った話をさらっと言うところも、ああ、この人はそうやって生きてきたんだなって伝わってきた。 魔道具を無料でもらう流れ、決して安売りじゃなくて、ちゃんと縁と気持ちのやり取りになってるのが好き。久しぶりの城、変わった景色と変わらないものの対比も、時間の流れを感じさせて良いわね。 次、ソフィーとどう再会するのか、ちゃんと見届けるわ🔥