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『なあ?』隣で誠也くんが小さく囁く。
寝ているはずなのに、眠れない。
私も同じだった。
『思い出したこと、もう1つあんねん』
彼の声は、どこか震えていた。
私もごくりと喉を鳴らす。
「……何?」
『前世の“最後の日”。光が泣きながら俺に言ってた。“もし生まれ変わって、また出会えたら……絶対に、今度は離れないって約束して”って……。』
私はハッとした。
その言葉、確かに夢の中でも何度も聞いた。
誠也くんは、静かに私の手を握る。
『俺、あの時……光を残して、ひとりで遠くに行かなあかんかった。病気やったんかな、戦争やったんかな……そこはまだぼやけてるけど……でも離れなきゃいけなくて、守れへんかった。それがずっと心残りやってん。』
私はぎゅっと彼の手を握り返す。
「今世では……絶対に、置いていかない?」
『当たり前や。何があっても一緒におる。今度こそ、最後まで一緒におるって……約束したからな。』
その声が、心にしみた。
そうだ。
これは、ただの偶然の再会なんかじゃない。
これは、前世から続いてる“約束”だったんだ。
私たちはもう、迷わない。
眠れぬ夜の静寂の中で、二人の心は、深く、確かに繋がっていた。