♡_勇者sid__♡
「この俺がッ!!貴様らッごときッ、にィ……‼‼」…バタッ…
やった………?……ッ
『ッッッ!勝ったぞぉお!!!!!!!!!』
シーンと静まり返っていた屋敷内にパーティーの仲間たちの歓声が響き渡る
やっと!やっとだ!やっと俺達はあの悪党に勝ったんだ!!
これで村の人たちに、家族に…!幸せな時間がやってくる!
俺と仲間たちは浮かれワーワー、キャーキャー騒ぎ立てた
そんなとき……
コツン
(俺達以外)誰も居ないはずの屋敷内に…
コツン
奇妙な足音が響き渡った
チャキッ
俺はいち早くその不思議な足音に気づき、刀を抜き戦闘態勢に入る異変に気づいたパーティーの奴らも遅れて戦闘態勢に入った
さっきまで騒がしかった屋敷内が嘘のように静まり返る
「…………だ、誰だ!?」
今の今まで少しも気配を感じなかった俺達が浮かれて気を緩めていたせいか…はたまた相手が相当な手練なのか…
額にツウッと汗がにじみ出る
そんな緊張感のある空気を打ち壊すように少し高めのハスキーボイスが響いた
『あちゃ〜、やっぱしアレ殺られちゃってんじゃ〜ん…』
「ッッッ!!」
暗い廊下から赤い瞳をもつナニかが現れた一目見て確信した
あぁ、コイツは人間では無いと……
「なんだお前はッ!この屋敷にはそこに倒れているボスと手下共しか居なかったはずだ!」
「それにボスはすでに倒したはずだ!なぜまだ生きているやつが居る!?」
『………は、?…それ俺がコイツの下僕とでも言いてぇ訳?』
「ッ!……違うのか?…ッまさか裏ボスか!?」
コツン
白髪赤目の男はまさに悪魔の笑みを浮かべこちら側に近づいてきた
『わりぃケド、俺ザコにきょ〜みねぇんだわ』
「……は、」ザシュッ
ドサドサドサッ
後から嫌な音と共に、ツンと鼻を刺激する鉄の匂いがただ寄ってきた
「……えッ、…は…?」
恐る恐る後を振り向く
「…ヒュッ!?!?!?」
え、、なんで?なんでッ!?
俺の後にはさっきまで立って居たはずの仲間達の亡骸があった
この一瞬で…?アイツは今何をした?アイツは手を動かす動作を一切していなかったはずだ…
「ッッッッックッソ!!!!!この悪魔がぁぁあ!!!」
ジャキンッ!
俺は怒りと憎しみを込めて悪魔に刀を振りかざした……
はずだった……
刀を振りかざした瞬間に俺の体に鋭く強い衝撃が走った
「ッッッガハッ!?!?」
ドサリッ
俺は訳も分からず刀を握ったまま余暇に倒れた
なんだ…何が起きた?自分の手を見る痺れていて上手く動かせない
「雷…………?」
俺はこの技に覚えがあった
なぜって……
だってこれは……
これは…………
俺のパーティーの初期からのメンバーであり、パーティーメンバー内で唯一の回復魔法を使える…
叶(かなえ)の得意技だった
『お前め〜えんぎだったな』
コツン
今度は目の前の悪魔からではない足音が後から聞こえた俺は痺れている体を必死に動かして後に居る人物の名前を叫んだ
「ッッ!なんでお前がぁ!!叶!!!」
ニコッ
叶は今まで俺に見せて来た笑顔とは違う目が笑っていない凍りついたような貼り付けの笑顔を向けて呟いた
〚なんでって……葛葉(くずは)がこっちに居るからに決まってるじゃん〛
「……は、…?」
〚もぉ〜!鈍いなぁ!だから君たちとの関係は全部演技。僕はお前らの仲間じゃない〛
「……叶、ウソ…ッだろ」
眼の前にいる叶にとっさに手を伸ばすパシンッ!
「!?」
『………俺の叶だから、……気安く触んな」ギロッ
「ッッ……」
俺は今どんな顔をしているだろうか?きっと絶望に満ちたヒドイ顔になっているんだろう
「……はは、はッ」
自然と乾いた笑いが口から漏れる
〚ありゃりゃ、等々頭イッちゃった?w〛
『…んなことより俺に構えよぉ…』٩(๑`^´๑)۶
〚フフッ、ごめんね。暫く一緒に居れなかったし、今日は沢山お話しようね♪〛(*´ω`*)
『…ん』(´・ω・`)
あぁ、叶は最初から…俺達など興味無かったんだなボスを倒すところまで着いてきたのはアイツに会うため
そういえば前に、叶の髪に結ばれている三つ編みとも言えない不思議な髪型に巻かれた青いリボンが気になり、直してやろうとしたことがあった
そのときの叶はまるで敵に向けるような冷たい視線で
〚…悪いけど、コレに触んないでくんない?〛
と、俺を睨みつけてきた
俺は今まで見たことない叶の表情に背筋が凍りついたのを今でも覚えているとっさに誤ったらこれには深い思い入れがあると教えてくれた
あれはきっと、アイツにやってもらったんだろう
〚さて、葛葉との再開も果たした事だし…〛
〚君には消えて貰うよ〛
あぁ、お前は……俺を殺そうとする姿まで美しいのか…
『……じゃ〜な、勇者様』ニヤッ
〚君たちと過ごすの意外と退屈じゃ無かったよ、葛葉といるときと比べたら死ぬほど退屈だったけどね〛
ドゴォオン!⚡
「_____ツあ”ツツ」
俺は朦朧(もうろう)とする意識の中、自分が死ぬことを悟った……
こんな終わり方って、あるか………よツ
「……」
『死んだみてぇだな』
〚だね、さっ葛葉!……”戻ろっか”〛
『……おう』
バサァッ
二人の背中から大きな羽が現れる
『…今回は結構長く続いたな』
〚だねぇ、また暇つぶしに人間界に来よっか〛
『あぁ』
お互いに手を繫ぎ、片方しかない羽をはばたかせる
夜の月明かりに照らされて、天使と悪魔は果てのない夜空へ姿を消した
♡_END_♡
〚ChroNoiR〛※{ブラッディー・グルービー}ネタ
コメント
3件
好きです………
わァァァァァ 最高すぎます😭