テラーノベル
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渋谷の地下、静まり返るホーム。
ディアブロによって拘束され、身動きの取れない偽夏油。その頭部に向けて、リムルが静かに手をかざした。
「……さて。五条、心の準備はいいか?」
「リムル……本当に、あいつを戻せるのかい?」
五条の声が、最強らしからぬほど震えている。
「俺を誰だと思ってる。ラファエルさん、分離と蘇生の同時実行、いけるか?」
『解。個体名:羂索の完全排除、および魂の情報を基にした肉体の再構築。……可能です』
リムルの手から、眩いばかりの銀色の光が溢れ出す。
「『智慧之王(ラファエル)』、起動!!」
「ギャァァァァァッ!!」
偽夏油の頭から、不気味な意思を持つ「脳みそ(羂索)」が強制的に引き剥がされ、リムルの影(虚数空間)へと飲み込まれていく。
空っぽになった夏油の肉体。そこに、リムルが虚空から集めた「夏油傑のの欠片」を流し込み、**『完全回復薬(フルポーション)』**を惜しみなく注ぎ込んだ。
一秒、二秒――。
夏油の額から、痛々しい縫い目が跡形もなく消えていく。
そして。
「……ごほっ、……。ここは、……」
死んだはずの男、夏油傑が、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
その瞳に、かつての理性的で優しい光が宿る。
「……よぉ、傑。ずいぶん長く寝てたな」
五条が、目隠しを外して、くしゃくしゃの笑顔で語りかける。
夏油は隣に立つ親友を見て、驚いたように目を見開いた。
「……悟? なぜ、君が泣きそうな顔をしているんだ。私は確か、君の手で――」
「あー、難しい話は後だ!」
リムルが二人の間に割って入る。
「夏油、お前を生き返らせたのは俺だ。お前の親友が、あんまり寂しそうな顔するもんだからさ」
夏油は周囲を見渡し、そして自分の手を見つめる。
呪いと絶望に満ちていたはずの自分の魂が、今は不思議と穏やかで、清らかなエネルギーに満たされているのを感じた。
「……君が、私を? ……悟、この風変わりな君の友人は、一体何者なんだい?」
「ふふ、僕の最高の相棒だよ。――おかえり、傑」
五条が夏油の手を取り、力強く引き寄せる。
十年の歳月を超えて、最強の二人が、最強のまま、本当の意味で並び立った瞬間だった。
「クフフ……。感動の再会を邪魔する気はありませんが、リムル様。あちらの残党(呪霊たち)はどうされますか?」
「ああ、ディアブロ。……あいつらは、もうお前が好きにしていいぞ」
リムルは笑いながら、親友同士の再会を温かく見守った。
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