次の日、いつものように学校に行くと、懐かしい声で迎えられた。
泣きそうになっていた顔を隠して挨拶を交わす。
そのまた次の日、私は自然に先生を避けるようになっていた。
声を聞くと泣いてしまうから。
声を聞くと、全部投げ出したくなるから。
休日、家のチャイムがなった。
モニターを見ると見覚えのある、いや、見覚えがありすぎる姿があった。
恐る恐る返事をして階段を下りる。
いつものような優しい笑顔が当たり前になっていたせいか、真剣な顔をしているのは何故か怖いくらいに圧を感じた。
「大事な話がある」
何故か悪寒と冷や汗が止まらない。
嫌な予感がする。
散歩をしながら話そうと言う彼に引っ張られて桜が散る川沿いを歩いていた。
「俺さ」
「1ヶ月前大事な話をされたんだ。」
その声は少し震えていた気がした。
「余命半年だってよ」
溢れてくる涙を堪えようとしながらも溢れる涙を拭って言う先生はなんだかすごく幼いように見えた。
もっと一緒にいたかったなぁ…
あの時、どうすれば先生のタイムリミットまで長く一緒に過ごせただろうか。
あの時、どんな仕草を見ていればもっと早くに気づけただろうか。
後悔ばかりが涙と一緒に視界を遮る。
心が折れそうだった。
家族からの心配もやっと減ってきて
私の心もやっと黒から白になろうとしていたのに
こんなのまた黒だよッ
「もっと…一緒に居たかったよ…」
「もっと…時間を大事にしたら良かったよ…」
先生の居る生活を当たり前だと思っていたことも、早く気づけなかったことにも、もっと早く好きって言って置けばよかったことにも全てに後悔する。
「死ぬまで…一緒に居よう」
呼吸をするのに精一杯だった中やっとの思いで放った言葉
「好きッ!」
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