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「なにそれ…」
ばれた。
ばれたばれたばれたばれたばれたばれたばれたばれたばれたばれたばれた。
巡る思考に頭が熱くなるのを感じる。延々と答えが出ないせいでいつしか思考を放棄してしまっていた。
「おねがい、だれにもいわないで」
気づけばただこの言葉だけを発していた。震えていて小さな声。情けない。
俺だって自分の運命と必死に向き合って抗ってきたよ。でもこんな体の異変俺に止められるわけがない。もう俺は鬼じゃないのか?俺はもうあいつらとは一緒にいれないのかな。
俺は以前自分の家系について調べていた。
家系図を細かく見てみたところ、必ず俺の一族が一世代に1人「鬼神」を産み落としていた。
なんという奇跡。俺にもその才能があるかと思った。
でも期待はあっさり俺を裏切った。
俺はそもそも桃太郎の子供だ。鬼神の力がないのは当たり前だった。
俺はきっと先祖の鬼の血が濃くて鬼になったんだろう。そう自分の中で納得した。
俺はスケート以外何も持っていなかったけれど、鬼の力により役に立てると知ってからは良く鍛錬をした。山で血を使ってみて、もっと人を魅了する方法を考えた。
そんなある日だった。急に血が使えなくなった。その代わりに黒い細菌が手を這っていた。馬鹿な俺でも一瞬で理解した。
俺は桃太郎になっていってるのだろう。
異変はそれだけではない。どんどん自分が普段抱かない感情を抱いたり、自我が薄くなってゆく。日に日に俺が違う人間になるみたいに。
どんどん広がってく細菌は手を覆い、足を覆い、更には首の近くまで広がってきていた。
もう採血なんて受けられない。こんな体見られたらおしまいだ。
そう思い、ずっと逃げていた。
恋太郎「俺どうなるんですか、」
京夜「……ごめんね、どうしても秘密にはできない。この情報は本当に大事なんだ。」
仕方ない。仕方ないことだって分かってる。でも俺はもう他人になるのかな。ずっと研究所にいなきゃいけないだとか不自由な暮らしはごめんだ。
どんどん不安と焦りが募る。すると首元の方から変な感触がしてきた。
……もしかして、細菌が上がってきてる?
まずい、顔まで覆われたらどうなる…?俺は嫌だ。自分が桃太郎になるなんて。
恋太郎「う…う、」
京夜「恋太郎くん!?細菌が…!!」
一瞬で全身が黒くなる。息もできないような感覚だ。視覚が、聴覚が、触覚が、もう何もない。
京夜side
急に恋太郎くんの体が黒い細菌に覆われてしまった。こんな奇妙な現象見たこともない。
彼を中心にぐるぐると渦を巻いている。
それが大きな音を立てながら弾けたと思えば彼の姿が見えてきた。
そこにいるのは別人だった。
いや、正確に言えば恋太郎くんではあるがまるで雰囲気が違う。いつもより黒さが引き立つ髪がさらりと揺れる。こちらを覗く瞳は深く黒い青で満たされている。放つ雰囲気は普段より威圧感があった。なんだかいつもより派手で存在感がある。
京夜「大丈夫…?恋太郎くん…?」
ちらっとこちらを見る。人形のように美しい顔立ちだ。申し訳ないが、普段の彼からは感じられない華麗さが“彼”にはあった。
??「恋太郎…?」
氷介「僕は伊都氷介だよ。」
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