〜○年前〜
変則的台子高校体育館裏
いふside
今日は学生大喜びの土曜日。木々が青々とひかり、日差しが眩しいくらいだった。俺らは体育館のへりの辺りに集合し、会議という名の自慢大会をしていた。いつ何処でどんなヤツらと喧嘩しどんな結果を残せたのか、、目には光が灯っており、熱い視線は隊長である俺に向けて必死に語ってくれた。話を自分に投げかけてくれるだけで本当は嬉しく、尊いはずなのに俺の心は廃れていた。本当は意味の無い自慢なんて聞きたくないのに、聞く事しか仲間との接し方が分からない、そんな俺は恐らく隊長失格、はたまた人間としてクソなのだろうか。そんな事を考えていると隊員から話し掛けられた。
「隊長、、、気分悪いんすか??ぼ〜っとしてますけど、、、」
「あ、あぁ、ちょっとな、、、」
「じゃあ今日はお開きにしますか、はい!お前らッ解散だ〜!!」
「ん、ありがとうな」
まさか、部下に心配されるとは、、自分なんかよりずっとずっと彼の方が隊長として相応しいのでは無いだろうか。部下を持ってる身としては有り得ない考えをしてしまい、すぐさま頭の整理をし違う事を考えた。
会議が終わりみんながゾロゾロ帰るのを見送ると、俺は一人で体育館のへりに座っていた。いつも仲間達に挟まれ集団で行動し孤独をバレずに過ごす俺。そんな俺の事を誰も気づかずただの不良グループの隊長として見られるのは別に嫌では無いし、むしろありがたい事だった。だがしかし少しだけ、ほんの少しだけ、本当の自分を見て欲しい、そんな贅沢の様なツンデレのような悩みを抱え、俺は自分の事ながら困惑してしまった。そんな事を考えながら俺は少し上を見上げ、何やら元気な声が聞こえる高い壁を挟んだ上の道路を見た。そこに居たのは5人の男たちだった。そいつらは最近獅子組というものをつくり一線を博しているという事で、高校の不良グループは皆、注目していた奴等だった。総長である悠佑の事はあまり知らないが、恐らく戦闘員であるほとけは知っていた。ほとけは高校に入ってからすぐグループを作った俺らのグループに喧嘩を売った度胸が凄いやつだ。結論としてはうちのグループはボロ負け、隊長である俺と一線を交えた時はほぼ互角でギリギリ俺が勝った感じでうちのグループでは要注意人物として知られていた。そんな危険な奴を従える悠佑という男は相当凄いのだろう、部下の事を全く知らず、上手くまとめれない俺と変わって欲しいとも思うものだ。そして最近有名な、ないこも奴らと一緒に行動していた。ないこは生徒会長なのに獅子組に加入したという噂が学校では今ホットなネタでみんな話していたが、誰1人確認できた者はいないと聞く。冷やかしに気味にないこに話を聞いたものはもれなく全員悠佑にボコられるかららしい。相当勇気と度胸がある奴しか獅子組と関われず、獅子組に入っているものは逸材揃いだと聞く。適当にヤンチャがしたい奴らを集めたグループの俺らと比べる当たり俺は本当に奴らのことをすごいと思っているらしい。本当の俺はひとりぼっちだという事を理解したうえで奴らを見ると、奴らには本当の仲間が居るみたいで本当に羨ましかった。
彼等がじゃあここでバイバイだねと聞こえた瞬間俺は立ち上がり帰ることにした。こんなにマイナスな事ばかり考えていては気分も上がらない、俺は少しだけ街を歩き心を整える事にした。
土曜日の昼という事で街中には人で溢れていた。スマホを確認しながら待ち合わせをする者、恋人繋ぎをしているキモイオッサンと高校生ぐらいの女、客引きをする所謂キャッチの男、甘い言葉に騙されキャッチについて行ってしまう馬鹿な女、部活終わり買い食いをしているような中学生も居た。本当に人間って十人十色だと思う。街を少し見渡すだけで面白いような奴らが沢山見れるのだ、高校は最悪だろうとこの街に生まれて良かったと思う唯一の理由だった。俺は人間観察をしながら少しだけ人気の少ない東公園に向かった。東公園は発展した街中にしては随分静かめでウォーキングをするような老夫婦、犬の散歩をする若めの兄ちゃん、子供を連れて遊びに来る親子、、、とそんな奴等しか集まらずかなりいい場所だった。しかし、少し問題点を挙げるのならば車の往来のスピードがかなり速い所だった。人があまり、集まらないという事で公園の中を通る車は法定速度を破り、飛ばす車が多かった。普段は人が通らないからいいと思うがたまに飛び出す猫が居るがためによく確認して欲しいと思うのはこちらのエゴでしかないのだろうか。
そんな事を考えていると、ニ”ャ”ッッっと言う猫の鈍い鳴き声が聞こえてきた。急に鳴き声が聞こてきて、びっくりし、確認しに行くと10人ほどの男が沢山の猫を囲み木の棒で猫の身体を貫き指しているようだった。男たちは半グレのような見た目で年齢は20代前半だろうか。この人数なら俺一人で勝てるだろうか、しかし、相手は未知の集団で負傷した猫も沢山居た。これ以上、被害をださずにこの場を収められるのだろうか。ウダウダ考えていると一人の男がこっちに気づいたらしい、ズカズカと俺のいた場所に近付いてきた。チャンスだと思った俺は、近付いてきた男の下に潜り込みすぐさま膝を上にあげ所謂男の急所を蹴り、男がしゃがみ込んだ瞬間こちらに走ってきた男達の方へ本気で蹴り飛ばした。すると数人の男はボウリングのように転んだ、そんな事に喜んでいると上から足が降ってきた。どうやら転んだ男達を踏み台にし一人の男が飛び膝蹴りをしてきたようだった。俺はそれに気づきギリギリで交わすとバランスが崩れ、転んでしまった。そこをチャンスと言わんばかりに奴等は襲ってきたが俺は何とか立ち上がり猫を守るように戦いを続けた。戦況としてはこちらは最悪だった。そもそもこちらは1人だったし沢山の猫を全て守りながらとなると相当辛かった。すると、正面に真っ向勝負を挑んできた屈強な男の顔面が一直線に伸びた足により陥没した。誰の足かと思い足の方向を見るとそこには、そう、獅子組の総長である悠佑が立っていた。
「おい、いふ!!俺が猫共を完璧に守るから、猫ばかりに気を促すな!持ち前の最強のスピードを活かして、いっちゃん強いやつを潰して来い!!」
その発言を耳で聞きすぐさま判断したかと思うと身体は1番強そうな男の目の前に立っていた。その男の目を片手で潰し、みぞおちを全力の力を乗せた右手拳で殴った。そいつは吐血したかと思うと何やら濁った大声で撤収を促した。すると悠佑と戦っていた男達もさっさとどこかへ行ってしまった。
大怪我をした猫達を連れ、俺と悠佑は比較的大きな動物病院に来た。猫によっては緊急治療を受ける必要がいるものもおり、俺らは治療室の前で静かに待っていた。
「なぁ、、なんで悠佑は俺を助けてくれたん、、?お前らは俺のグループを良くは思ってないだろ?」
「まぁ、確かに、普通の考えの人なら嫌な奴に手は貸さんもんな。でも、俺は猫を必死に守りながら自分より大きな男と戦っているお前の姿見て、これは助けなアカンなって感じて助けた。これを理由に脅そうとかは考えてないから安心してな。」
「そっか、、、悠佑は優しいんやな。俺とは大違いや。信頼しとる仲間もおって、、」
「ここで、お前にも仲間が居るやろ、、、って言うのは邪道やな。ってか俺は優しくないで、ただ単に俺みたいな奴を助けただけ。俺もお前と同じひとりぼっちの寂しい男や。」
「俺が、、、ひとりぼっちの男に見えるん、、、か、、」
「当たり前やろ(笑)何人お前みたいな奴を見てきたと思っとんの、あ、あと類は友を呼ぶって言うやろ?それと同じで俺の周りには1人のやつが多いんや。」
「そっか、、」
今思えばこの会話は不良グループの総長である2人の会話に似つかわしくないほど静かだったと思う。1人ずつ発言をしていき、2人っきりの空間に浸り、俺の本性を見つけた事に感動しながら、俺らは会話をした。2人して最初は緊張していたものの、最後の方にはお互いが信頼するような関係になるほど打ち解け、あだ名で呼び合うほどだった。
「ははっ、ほんままろは面白いわ(笑)」
「そういうアニキもでしょ、なんでそんな面白いことが起きんねん。」
「確かに有り得へんもんな〜(笑)あ、そういえば!まろ!!俺ら獅子組の目的分かってくれたやろ??」
「え、?うん!めっちゃ凄いって思った!!俺のグループとは大違い!!」
「じゃあさじゃあさ!まろのグループ丸ごと獅子組に入らん??俺らとしてはまろのグループが丸ごと入ったら他の奴らに凄いって思わすこともできるし、まろも1人ぼっちのやつが少しでも減らせて、WinWinやと思うんやけどどう??」
「めっちゃええやん!!そうするそうする!!」
落ち着いて考えると相当やばい事を了承したが後悔はしていない。獅子組に入り、俺みたいな演じているような奴を救えるのだ、そう考えたら俄然やる気が出てきた。仲間という名の殻に閉じこもり独りじゃないことを演じてきた俺。そんなクソみたいな俺を救ってくれるような事をしてくれたアニキには頭が上がらなかった。
明日(2023年3月17日)投稿出来ません。すみません。
コメント
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まろちゃん……やさすぃ((((きっしょ 猫を守る……か、その猫になりてぇ……守られてぇ、いや、まろちゃんを殴ったやつの目ん玉に1発食らわせてぇ 明日投稿できないのね、おっけ、テストの復習がてら1話から読み直しとくわ