「さーーーっむ……」
寒すぎる。季節的に暑くなっているはずだ。
とりあえずエアコンがついてるだろうと思って消そうと思ったが、消えていた。
「はぁ、熱か…とりあえず測ろう」
体温計を探すが見当たらない。歩くのも重いのに探すなんて、ただただ地獄なだけだ。
「めんどくさいからもういいかな」
諦めた。流石にしんどくなってきたから探すのを辞めた。
・─・・・─・・──・──────
「どうしようかな…身体も重いし……
はぁ、今頃あおいはどうしてるのかな……なんて」
私はあおいが好き……だ。大切な人だと思ってるし、守りたい人でもある。
私を救ってくれた。だから、いつか私も救う側に……なんて。
「もう……あおいのことばっか考えてるわ……なんか恥ずかしくなってくるね…w」
独りでくどくど考えながら貴重な時間を使っていった。
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ガチャ
「ただいま」
母の声で目が覚める。
「あれ、私…寝てたの……」
身体を起こすと母からの言葉で時が止まった。
「い…いおりッ昨日の夜中3時くらいのときなんであんな部屋を汚したのよ……!?母さん流石に怖くて何も出来なかったけど……大丈夫なの!?!?」
「……は???」
また馬鹿げたことを……って一瞬思ったが否定が出来ない。なぜなら、
あんな母がこんなにも必死に言うから。
おまけに覚えていない。
これは母の言うことが確実に正しい。
だがこんな事実、信じたいと思うか。
「そんな……訳ないッッッ!!!!!!おかしいおかしい!!!!!!」
母は眉間に深い皺を刻んだ。
「母さんだってそんなの信じたくないわよ!!!でも、これは事実なの。母さん、見ちゃったから。」
「見たって……何を」
私は聞きたくないが気になって聞いてしまった。
「いおりが急に『やめろよ!!!!!!』って発狂し始めて、もがくみたいに部屋中物を散乱させてたの。貴方は身に覚えはないでしょう、」
「…わた……わたしが…そんなことを…」
母は何も言えないような顔をしていた。
「まぁ、とりあえずは様子見ね…これからもこんなことが続くようなら病院へ行きましょう」
絶句した私を慰めるかのような、そんな声で言った。
「…………」
信じたくない。
……タッタッタッダッダッダ!!!
ピーンポーーーン
「……ひなただ、私が出る。」
扉に向かって歩く。どんどんと寒くなっていく。
ガチャ…
「やっほう、いおり」
いつもの笑顔のひなただ。
「うん、どうしたの」
寒すぎて全身は震えて、肩も重い中何とか立っている私を見てひなたが言った。
「いおりのお母さん、ちょっとお部屋にお邪魔させていただきます……」
「はい、どうぞ」
と母も返事。
あまりに酷く震える私を2人はとても心配した。
ひなたの手が冷たすぎる。冷え症なのは知っているが今は触らないで欲しい。が、そんなこと言えない。
「はい、いおり。生姜湯よ。これ飲んで温まりなさい…」
「ありがとう」
出来たての生姜湯を手に取る。「熱」って思った。渡されたそれを口元へ持ってくる。
少しずつ温かくなっていく。
「生姜湯ってこんな美味しかったっけ」
カスカスの私の声を拾う。
「生姜湯なんだから美味しいに決まってるよ!!w」
ひなたのいつもの声。いつも通りだ。
「てかさ、いおり昨日寝た後そのまま朝まで寝てたの???」
「いや、もう夕方までぐっすーり寝た。最悪だよ」
いつもの元気が出てきた。
「うわぁそりゃ大変だな…てことは風呂も入ってないし歯も磨いてない…!?!?」
ちょっと煽り気味に言ってきた。
「はっ、いやひなたなんて同じ服3週間も着てたじゃんw」
「はぁ〜!?!?w」
こんな平和が続いてくれればな。