これで、一つの共通点が浮き上がった。そして、もう一つの共通点、
「もしかして、あのオリジナルコーヒーか?」
私は思わず呟きボサボサ頭を掻き回した。不思議な気分だ。自分の身に何が起きているのか現実的にはさっぱり解らない。
「え、何て言ったの?」
安浦はパクパク食べるのを一旦止めた。ジャイアント・パフェは半分以下になっていた。そして、また大口を開けて挑む。
「そうよ。オリジナルコーヒーよ……」
呉林も呟く。
「もしかして……」
私がそう喋ると、呉林が冷静に頷き。
「私も恵ちゃんも、そして赤羽さんもオリジナルコーヒーを飲んだ事になるわね。だって、当店自慢のコーヒーですって言って、何も注文してないのにサービスをしてくれたのよね。とても美味しかったけれど必ず何かがあるわ」
「え、何々? どうしたの?」
スプーン片手に困惑する安浦を放っておいて、
「これで、原因が解ったはずだ。明日、三人でひたちの牛久の喫茶店へ行こう!」
私はしばらく仕事を休むことにした。呉林たちと別れてから、エコールの谷川さんに連絡して体調不良を理由にしばらく2・3週間の休暇を取ることにした。当日欠勤をしたのも初めてとなる。
5年間休まず働いていたのに事情が事情なだけに仕方がなかった。谷川さんは「珍しいね」と言ってたっけ。
呉林たちも大学を休むことにしたようだ。
翌日、私は、安浦と呉林と3人で林の中にある問題の喫茶店にいた。あの嵐の時と一切変わらずにそれはあった。けれど、違ったところもある。光沢のある木製のドアに「クローズ」と看板が掛けられていることだった。
「閉まっているね。笹井喫茶室」
と、私は顔に落胆の色をだす。
「そうね。ここのオリジナルコーヒーを何らかで調べれば、何か解るかと思ったんだけど。どうしよう……」
呉林も見るからに落胆した顔をしていた。恐らく呪いか何かで調べるのだろう。
「定休日じゃないの?」
安浦は不安そうに言った。しかし、店先の看板には定休日は水曜日になっているし、今日は火曜日だった。
「あ、これを見て」
呉林が店の窓を指差した。そこには、
{まことに御勝手ながら一週間ほど海外でコーヒー豆を採取してきます。 店主}
と書かれた紙が張り付けてある。