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「どうやら、来週じゃなければ駄目みたいだね。仕事休まなければよかったよ」


私は愚痴り。谷川さんや中村と上村に迷惑をかけたことを悔やんだ。けれど、これから何が起きるのか? 今は仕事どころではない。


呉林も神妙な顔で、


「でも、昨日のようなことがまた起きるはずよ。これからの一週間で何が起きるかわからないけれど」


「ねえ、ほんとにここのコーヒーが原因なのよね」


安浦は少し不安な声色をして私に問う。


「恐らく、不思議なことで頭が変になるけれど、ここのコーヒー以外に共通点がないはずだし。何かの薬でも入れられたかな?」



私も少し不安な声色になっているのかもしれない。私は信じられそうもない非日常に直面していて、かなり混乱していた。



「あたし、怖くてしょうがないわ。でも、来週になれば、あの電車の出来事が治るのかしら。あたし、気持ち悪いから一週間くらい電車に乗らないようにしようっと」


安浦は単純に、昨日の普通列車での体験だけが、また起きると考えているようだ。


私と呉林は目を合わせる。呉林は無理に明るい表情を作り、ウィンクをした。


「あのね、恵ちゃん。そうじゃなくて……」


呉林が友人の肩にそっと手を置いて、優しく何か言おうとしたが。


「こんな緊急時だし、みんなの携帯電話番号を教え合おうよ。あのようなことが起きたらすぐに連絡し合うためにさ。別にやましい気持ちなんてまったく無いからさ」

呉林は頷いた。


「賛成よ」

安浦も賛成した。


私はどうしようもない不安の中、この二人がいる。とても感謝していた。それは呉林と安浦も同じ気持ちだと思える。


もし、私一人であの体験をしたとしたら……ちょっと想像出来ない。恐らく、とてつもない不安を抱えて布団の中で蹲り途方に暮れていただろう。それに、生来の根性無しの私では助かったのかどうかも解らない。


そして、これから起きることは。きっと、不可解で恐ろしい体験。そんなことが何度も起きるのだろうか?  呉林は何が起きるのか知っているのだろうか?

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