あかりの差す部屋で
大学進学と同時に、東京の端っこの築浅2LDKに引っ越した黒井と光。
きっかけは、黒井が「ひかると暮らしたい!」って言い出しただけなんだけど、
光はそれを、なんだかんだ断りきれなかった。
最初の頃は些細なことでケンカした。
洗濯物の干し方、食器の片付け方、シャワーの時間、寝言のうるささ…
(特に黒井の寝言は「うおぉおおお ひかるー!」みたいな謎テンションで、夜中にマジで飛び起きた。)
だけど、毎朝「おはよー」って同じ声が聞こえて、
毎晩「光〜腹減った〜」ってソファに転がってくるやつがいて、
それだけで、なんか全部チャラになるような日々だった。
ある日、光がテーブルの上に置いてあったプリントに気づく。
それは黒井が受けようとしてた企業のインターン資料。
「え、これさ…言ってなかったよな?てか、地方勤務ってあるけど」
「ああ、それね〜。受けるのやめた!」
「なんで?」
「だって、ひかると離れんのやだし」
「……お前なぁ」
言いながら、光は顔を隠すようにそっぽを向いたけど、
耳が真っ赤になってるのは、正義にもちゃんと見えてた。
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