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放課後、教室の窓から差し込む西日。
静かなはずのこの時間、ある一角だけが無駄ににぎやかだった。
「ぴーかーるーんっ!!!」
勢いよく机に手を置き、未来が満面の笑みで迫ってくる。
その背後にはへ〜子も同じテンションでニッコニコだ。
「ねぇ今日さ〜、マジでウチら暇すぎなんだけど〜、ぴかるん遊ぼ?」
「マジそれ!ウチらさ、ぴかるん補給してないと乾くんよ〜、エモ枯渇!」
「俺はエンタメじゃないけど…」
光はプリントを整理していた手を止めず、軽くため息。
「え、ぴかるん冷た〜!てかその顔、地味に塩イケやばすぎなんだけど〜」
「いやさ〜そのまま雑誌の巻末載っててもウチ信じるよ?」
「ギャル目線のほめ言葉、いつも判別むずいんだけど」
「そゆとこ、まじぴかるんって感じ〜〜!」
みらいが椅子を引いて光の隣に座る。へ〜子は光の背後から覗き込んでくる。
「でさでさ、ぴかるんの今日のランチなにやったん?」
「ん?…カップ焼きそばだけど」
「うける〜〜!全然青春してない!」
「ほんまそれ!ぴかるんって一生放課後コンビニ寄ってそう〜」
「実際寄ってるけど」
「え、ガチ!?ウチのぴかるん観察日記正しかった説〜!」
「ねぇ未来、これで“今日もコンビニでメロンパン買ってそう感”100点中120点なんだけど〜」
「メロンパンじゃなくてカツサンドだし」
「うわ!カツサンド〜〜!?なんなん、もう彼氏にしたい」
「無理。ていうか俺なんかより、お前らの会話のノリの方がよっぽど青春してる」
「え、…ぴかるんちょっと今のセリフかっこよない?」
「うちらのこと“青春”って言ったよ?ぴかるん、惚れた?」
「いや、引いた」
「え、引かれたあ!?うちらの全力ムーブ受け止められる男子募集中なんだけど!?」
「それぴかるんしかいなくない?詰んだくない!?」
光はプリントを仕舞いながらぼそっとつぶやいた。
「…同じクラスってだけで毎日このテンションなの、俺だけ世界線ズレてない?」
「ねーみらい、ぴかるんってさ〜、そういうこと平気で言えるとこガチ推せん?」
「わかる〜、ツッコミで生きてる男子って尊いよね」
「尊くない。俺はただのクラスの陰キャだから…」
「だっか〜ら!それが良いんよぴかるん!」
にやにや止まらないギャルズと、静かにプリントを抱えて退散準備をする光。
その背中にはもう、「明日も逃げ場はない」と書いてあった。