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静かにノックをして、部屋のドアを開ける。
「失礼します」
控えめな声で告げながら中に入ると、そこにはソファにだらりと座る竜平がいた。
🐉「…〇〇ちゃん?」
私を見つけるなり、少しだけ眉を上げる竜平。手にはスマホ、足は無造作に投げ出して、まるで完全オフモード。
「今日の打ち上げ、竜平くん行くか聞いてって頼まれまして」
🐉「んー笑」
適当に返事しながらスマホをいじる指。興味なさげだけど、
「どうしますか?」
🐉「行かなきゃだめ?」
「いや、自由ですけど……みんな行くって言ってましたよ」
「ふーん」
竜平はスマホを投げるように横のクッションに置くと、ソファの背もたれにぐったりともたれかかった。
🐉「でも俺、〇〇ちゃんと2人がいい、」
「……え?」
🐉「なんて冗談〜笑」
冗談、なのか。言い終えたあとにニヤっと笑う。心なしか、目が私の反応を確かめるようにじっと見ている気がする。
「……みんな待ってるので、お返事を……」
🐉「んー、どうしよっかなぁ」
「決まってないなら、とりあえず行くって伝えておきますね」
そう言って踵を返そうとした瞬間、竜平が不意に腕を伸ばし、私の手首を掴んだ。
「え」
🐉「まだいいじゃん、ちょっと」
低い声。どこか甘えた響きも混じっている。
🐉「すぐ行っちゃうの?」
「そ、そういうわけでは……」
🐉「ならもう少しここにいてよ」
竜平の指先が、ゆっくり私の手首を撫でるように動く。
🐉「…〇〇ちゃん、さっきから敬語じゃん」
「え?」
🐉「俺と二人の時ぐらい、敬語じゃなくていいよ?」
近い。声のトーンが少し低くなって、自然と背筋が伸びる。
「……だって、スタッフですし……」
🐉「スタッフでも俺の”彼女”でしょ?」
「……っ」
じっと見つめられる。目が逸らせない。
🐉「なに、恥ずかしい?」
竜平は笑う。私の顔が赤くなるのを見透かしたように、余裕たっぷりに。
「……意地悪ですね」
🐉「んー? まあ、〇〇ちゃんがかわいいから」
私が何か言い返そうとするより早く、竜平は私の手を引いてソファに座らせた。
🐉「もうちょい、一緒にいて?」
私の手を握ったまま、竜平が少しだけ唇の端を上げる。
🐉「…〇〇ちゃん、好きだよ」
もう、ほんとにずるい。
⸻続く。
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