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冒険者ギルドの登録を終えたローザリンドとフィンは、初めてのクエストを受けることになった。受付で渡された依頼書には、こう書かれている。
依頼内容: スライム討伐
報酬: 100ゴールド
場所: カーボン平原
「スライム…初心者向けの敵ってやつね!」ローザリンドは張り切っていた。
「でも本当に大丈夫か?お前、武器持ってないだろ。」
「フィン、私には気品という最強の武器があるのよ!」
「…それが通用するなら、とっくに俺は王様だ。」フィンは肩をすくめつつ、ローザリンドと一緒にカーボン平原へ向かう。
二人が平原に到着すると、目の前には数匹のスライムが跳ねていた。
「ふむ、雑魚そうだわね。フィン、薄緑のやつを私が相手するわ。」ローザリンドは勇敢に一歩前に出た。
だが、スライムたちは彼女に気づくや否や、一斉に巨大化し始めた!
「…でかい!話が違う!」フィンが叫ぶ。
受付で聞いた話では、スライムは小さくて無害なはずだった。だが目の前のスライムは、まるで粘液の塊の巨人のようだった。
「どうやら残業して鍛えられたスライムみたいね!」ローザリンドが冷静に(?)分析する。
「モンスターが残業するわけねえだろ!むしろ、残業しないって話だったじゃねえか!」フィンはツッコミながら剣を抜いた。
戦闘が始まるが、巨大化したスライムは予想以上に強い。ローザリンドが得意げに放った「貴族の気品」は効果なし。フィンの剣も粘液に阻まれてしまう。
「くそ!このスライム、まるでブラック企業の社員みたいにタフだ!」
「待って、フィン!もしかしてこのスライム、過労でストレス溜まってるんじゃない?」
ローザリンドはスライムの動きをじっと観察すると、あることに気づく。
「見て!スライムの目、くまができてるわ!」
「いや、それ疲労の証拠じゃん!討伐とかじゃなくて休ませるべきだろ!」フィンは思わず叫ぶが、スライムの粘液の一撃が飛んできて彼を吹き飛ばした。
戦いが続く中、太陽が傾き始めると、突然スライムたちが動きを止めた。
「なんだ?なんで急に止まった?」フィンが疑問を口にすると、ローザリンドがニヤリと笑った。
「分かったわ。このスライムたち、残業はしない主義なのよ!」
その瞬間、スライムたちはピシリと跳ね、集団で去っていった。残された二人は唖然として立ち尽くした。
「なあ、お嬢様…これって俺たちの勝ちでいいのか?」
「もちろんよ!だって私たち、スライムたちの労働環境を尊重してあげたもの!」
「いや、それ冒険者としてどうなんだよ!これで報酬もらえんのか?」
ギルドに戻り、討伐成功報告をする二人。しかし受付の女性から冷たい一言が返ってきた。
「スライムたちを討伐していない場合、報酬は支払えません。」
「ええっ!?だってスライムたち、自分で退勤したんですよ!」ローザリンドが抗議する。
「それは討伐ではありません。た見送りです。」受付は淡々と答えた。
フィンは顔を覆った。「もうやだ、このギルド…。次はちゃんと戦おうな。」
ローザリンドはどこ吹く風で言い放った。「大丈夫よ、フィン!私たちの冒険はこれからも社会的意義を追求するわ!」
「いや、そんなことより金稼がせてくれよ…」フィンは心底疲れた表情を浮かべていた。